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コラム 記者ワープロ

日日草

(10/6)

 県南ではかつて、秋彼岸が過ぎると北上川流域でモクズガニの捕獲が本格化した。モクズガニでだしを取り、旬の野菜を加えた郷土料理「カニばっと」は風味豊かで、懐かしさを感じさせる「おふくろの味」でもある

▼朝もやの残る川面に舟をこぎ出し、仕掛けておいた籠を引き揚げるカニ漁は北上川の風物詩。流域の人々が慣れ親しんできたモクズガニだが、「年々捕れなくなってきた」との声が聞かれる

▼古くからカニ漁が行われ、「カニばっと」が名物の一関市川崎町。有志が集まって1999年にNPO法人北上川生態系保全協会を立ち上げ、河川の環境保全と養殖を通じたモクズガニの増殖に力を入れている

▼きっかけは、捕獲や河川環境の変化からモクズガニが減少したこと。「このままでは『カニばっと』が食べられなくなる」との危機感もあったようだ。河口付近で親ガニを採取し、ふ化させた稚ガニを育て、北上川や支流の砂鉄川などに放流して増やそうとの試みだ

▼今年も5月に親ガニを捕まえ、およそ3万匹がふ化した。この間、町内のふ化場まで海水を運び、産卵やふ化を見守った。体長2、3ミリに育ったところで中間飼育場へ移し、淡水で育て放流を待つ。稚ガニが共食いしないよう“隠れ家”を作ってやるのが大きく育てるこつという

▼地元の川に放つ際、小学生らを対象にした飼育場の見学やモクズガニの学習会を行い、河川環境の保全と生態系を守る活動への理解も訴える。「早く大きくなってね」と声を掛ける小学生の願いが届き、モクズガニが大きくなって戻ることを期待したい。