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コラム 記者ワープロ

日日草

(11/8)

 世の中、もっとバランスが良ければ問題の幾つかは解消されるだろう。例えば、飽食の国と飢餓の国はそれぞれ深刻な課題を抱えるが、融通することで互いに改善されるはずだ

▼日本での食べ残しによる廃棄量は年間約640万トンもあり、食べられるのに捨てられている。藩政時代の江戸の町は今で言うリサイクル社会が形成され、清潔だったといわれている。食べ残しが少ない上、出てもその余剰を求める人たちがいた

▼し尿も農作物の肥料として引き取られる仕組みがあった。終戦直後の物資不足時代には食べ残しがほとんどなかったと聞く。欠食児童が多く、それを解決するため学校給食が広く奨励されたことを忘れてはなるまい

▼現代日本は飽食となり、肥満による健康悪化や疾病が社会問題だ。塩分やカロリーの摂取過多を防ぐ必要から、「ラーメンのスープは残しましょう」と勧める専門家らの話を耳にするが、そのたびに複雑な思いになる。スープの行方はどうなるのか。下水に流せば何ら問題がないという考えにはくみしたくない

▼最近は賃金格差により、貧しい家庭の子供が満足に食事を取れていない実態が分かっている。NPOを中心にフードバンクの設置が広がり、行政も盛岡市が動きだしている。市役所にフードバンクポストを置き、家庭や事業所の協力で食料品を集め、生活困窮者に無償で提供を始めた

▼世界では8億人以上が飢えに苦しんでいるという。「スープは残しましょう」。飢餓の国や生活困窮者の前ではやはり控えたい言葉だ。融通し合うとは、違う立場をよく理解することでもある。