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コラム 記者ワープロ

日日草

(11/9)

 宮沢賢治が長編詩「小岩井農場」の中で「本部の気取った建物」と書いたのが雫石町にある小岩井農場の本部事務所。屋根に望楼があり、重厚な窓が飾るモダンな建物にどこか取り澄ましたような印象を抱いたのだろうか。本部事務所は建築から113年を経た今も使われており、賢治が見た当時の情景を残す

▼文化審議会が本部事務所など小岩井農場施設21棟を重要文化財として指定するよう文部科学相に答申した。農場施設の指定は北海道大農学部(旧札幌農学校)第2農場に続いて2件目で、稼働中のものとしては初となる

▼21棟は本部事務所のほか牛舎や倉庫、小屋、サイロなどがあり、明治末期から昭和初期にかけて建てられた。時代の最新の技術を導入し、改良を重ねた農場の歩みを示す建物群が良好な状態で保存され、近代農場の発展過程を知る上で重要と評価された

▼小岩井農場は1891年、鉄道庁長官の井上勝が岩手山南麓の原野に開いた。岩崎彌之助(三菱社社長)、小野義眞(日本鉄道会社副社長)が開設に尽力し農場名は3人の名字から命名。当初経営は厳しかったが、99年に三菱財閥3代目の岩崎久彌が引き継ぎ発展を遂げた

▼畜産振興を目標に掲げ、種畜生産などの畜産事業や競走馬の育馬を推進。戦後は生乳の生産やバター、チーズの製造販売を本格展開、種鶏や観光にも事業を広げ、国内有数の民間総合牧場、本県を代表する観光地の一つとなった

▼本部事務所に限らず21施設はその多くが今も現役。賢治の時代から続く農場の長い歴史、日本の畜産の発展に果たした役割の大きさを改めて感じる。