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コラム 記者ワープロ

日日草

(12/10)

 今でこそ「ファスナー」と呼ぶが、以前は「チャック」だった。「ジッパー」を含め、どれも衣類などのスライド式留め具を指す。男性のズボンには「社会の窓」という言い方もあったが、こちらは死語か

▼製造業でチャックといえば、旋盤などで工作物を固定する装置のこと。通常は材料を挟んでボルトで押さえる。ただ上下で挟むと固定装置が邪魔で全面加工に手間がかかり、左右からだと材料がたわむ

▼鉄鋼材料は磁石で固定する装置(マグネットチャック)を使うが、水平方向に大きな力がかかるとずれるため研削加工などに限られていた。大工道具なら、かんなは掛けられてものみは使えないのと同じ。磁石を強くすれば固定力が高まる分、外しにくく作業効率は落ちる

▼これらの課題解消に強力マグネットチャックを開発したのが奥州市江刺区のサンアイ精機(菊地晋也社長)。2年前に特許を取得し、先ごろ東北地方発明表彰で中小企業庁長官賞を受けた

▼オン状態で従来の2倍近い固定力を発揮し、大きな力がかかる切削加工にも使用可能。オフに切り替えると同じく5分の1ほどに低減され、理想的な機能両立を実現した。1000分の1ミリ以下の精度が求められる精密金型製造などに活躍中

▼従業員13人の会社で「大手ではリスクが大きく手を出せない開発にも取り組める小さな巨人」と菊地寛会長(67)。自動車部品のほか、ファスナーを量産する製造機具にも有効で、「地元企業にも使ってもらい、東京に負けないものづくりに役立ちたい」と菊地社長(43)。地方の中小企業が日本の産業を支えている。