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コラム 記者ワープロ

日日草

(2/5)

 人それぞれに心休まる場所や何かをやろうという気持ちになる場所があるものだ。私的な話をすれば、そうした場所の一つに、明治の洋風建築で知られる盛岡市の岩手銀行旧本店本館がある

▼設計は東京駅で有名な建築家の辰野金吾と盛岡市出身の葛西萬司。赤いれんが造りに緑のドームを配したルネサンス風の威厳ある建物は1911(明治44)年に竣工(しゅんこう)した。以来、城下町盛岡の「顔」として存在感を示し続けている

▼内部は吹き抜けで2階に回廊を巡らす。付け柱を用い、天井に石こうモチーフを施した豪華な内装が明治という時代を醸す。早池峰山から切り出したという蛇紋石のカウンターも時代を超えて輝きを放つ

▼銀行としての役目を終えた建物は改修を経て2016年7月に「岩手銀行赤レンガ館」としてオープン。館内では銀行時代には見ることのできなかったスペースも自由に見学できる。りんとした雰囲気の中に足を踏み入れると「無駄をそぎ、心を整えよ」というウエーブを感じるから不思議だ

▼赤れんがに白い花こう岩を配し、ドームを掲げる外観は辰野の代表作である東京駅丸ノ内本屋と重なる。双方に流れる同じ空気と時間。そして東北に唯一残された辰野作品が語り掛けるもの…。建築ファンならずとも興味のある人にはお薦めのスポットだ

▼盛岡で過ごした幼少期。思えば初めて預金通帳を作ったのが岩銀旧本店だった。カワトクが中ノ橋通にあり、100円、500円がまだ札の時代。今では“赤い炎”を燃やし続ける同行のわが通帳だが、ルーツがそこにあると思うとどこかほほ笑ましくなる。