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コラム 記者ワープロ

日日草

(2/8)

 フランスの女性画家マリー・ローランサン(1883~1956年)の詩に、「鎮静剤」というのがある。文学者の堀口大学による名訳も貢献して、この詩と初めて出合ってからずっと印象に残っている

▼「退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です」で始まり、「追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です」で終わる。この詩の結末だと、最も不幸な女は相手の記憶から消えてしまうことだ

▼死んで肉体が朽ちても、その人を思い続ければ、心の中で生きているのだという見方もできよう。そんな忘れ去られる怖さとは逆に、最近は「忘れられる権利」が注目されている▼欧州連合(EU)で認められている権利だ。インターネット検索サイトで名前や単語を入力すると、逮捕歴に関する報道内容が表示されるケースがある。それはプライバシーの侵害に当たるとして、過去を削除できる権利をいう

▼日本では先日、男性が検索サービス大手の米グーグルに検索結果の削除を求めた仮処分申し立ての抗告審で、最高裁は削除を認めない決定をした。検索結果の表示の社会的な意義などと比較して、プライバシー保護が明らかに優越する場合は「削除が認められる」という判断基準を初めて示した

▼ただし、「忘れられる権利」には言及しなかった。削除を望む人に対して、検索サービス側も請求を受け付けてはいる。個人情報の保護が重視されるのは当然だが、削除の主張ばかりがまかり通ると、「知る権利」などを妨げることにもなり、兼ね合いが難しい。