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2017年5月
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コラム 記者ワープロ

日日草

(3/6)

 春の息吹が感じられる3月。卒業や異動などで別れの季節でもある。冬鳥たちも飛行の練習をしたり頭を泥だらけにして餌をついばんだりして、北帰行の準備に余念がない。旅立つ一群を見掛けることもあるが、鳴き声も心なしか憂いを帯びて聞こえる

▼かつて、白鳥の飛来地は餌付けを楽しむ家族連れでにぎわったものだ。この時期になると保育園児らが「白鳥とのお別れ会」を開き、「またたくさんの家族を連れて遊びに来てね」と見送っていたこともあった。近年は野鳥の生態を乱す恐れや鳥インフルエンザの影響で、餌付け自粛要請の看板が立てられている

▼今シーズン、本県でも高病原性鳥インフルエンザが20例近く確認された。深刻なのは養鶏場だ。今のところ本県の被害例はないが、全国では100万羽を超える鶏が殺処分された。防疫措置としてこの方法しかないのか、養鶏農家は経済的にも精神的にも苦悩する

▼毎シーズン片道4000キロを行き来する野鳥のこと、パンくずを与えなくても平気なことは百も承知だが、ある程度は期待もしながら飛来したのかもしれないと思う

▼盛岡市在住の漫画家とりのなん子さんの「とりぱん」(講談社)では、当事者からの一言として「こちとら食いつめて渡ってきてんだよ」「やさしく見守られてハラがふくれりゃ世話ねえよー」と怒っている白鳥が描かれている

▼毎年、空を見上げながら思う。誰が「そろそろ帰るか」と決断し、「さあ、出発だ」と誰に声を掛けるのか。旅の途中、何を合図にV字飛行の先端を交代するのか-。生命の神秘、自然の摂理の見事さを感じる。