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コラム 記者ワープロ

日日草

(3/9)

 世の中に「時間」ほど変幻自在なものはない。遅々として進まないこともあれば、矢のごとく過ぎ去ることもある。2011年3月11日-。悪魔の巨大津波が三陸沿岸を襲い、わずかな時間の差が生死を分けた。あれから間もなく6年になろうとしている

▼建物が建ち、新しい道路ができる。鉄道も潮風を切って軽快に走っている。一見すると復旧・復興が進んだかに思える。懸命に前に進もうとしている人々がいる一方で、あの「午後2時46分」で時が止まったように感じている人もいるだろう

▼当時、中学1年生だった歌手の臼澤みさきさんは避難所を回って民謡の慰問活動を続けていた。純真無垢(むく)な歌声は、多くの被災者を励まし元気づけて「大槌町の希望の星」「復興の歌姫」と親しまれてきた。その臼澤さんも今春、高校を卒業し新たな一歩を踏み出すという

▼本日付7面に特集で紹介しているが、陸前高田市を拠点に読書ボランティア活動を行っている「ささ舟」。震災直後、楽しい話をしても上の空の子供たちを前に、同団体の磐井律子さん(73)は「私の活動もここまでか」と観念したという

▼しかし、心のこもった活動を続けるうちに笑顔が生まれ、笑い声も聞こえるようになった。昨年ごろからは悲しい物語も取り入れ始めた。「悲しみを共有し素直に涙を流せるようになってきた」と語る

▼復興の取り組みは早いに越したことはないが、個々人の時の流れは違って当然。焦る必要はない。「時というものは、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだ」(シェークスピア「お気に召すまま」より)