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コラム 記者ワープロ

日日草

(4/13)

 漂泊の詩人石川啄木は「ふるさとの山に向ひて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな」「ふるさとの訛(なまり)なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」など「ふるさと」にまつわる短歌を数多く詠んだ

▼石川県出身の詩人室生犀星も「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」と作り、古里への切ない心情を表現した。同時期には〽兎(うさぎ)追ひしで始まる文部省唱歌「故郷」も発表されている

▼かくも「ふるさと」は日本人の琴線に触れる言葉だが、昨今は別の意味で注目を集めている。2008年に導入された「ふるさと納税」制度。応援したい地方自治体に寄付することで税制上の控除が受けられるもので、初年分の総額は73億円だったが、15年度には1653億円と急伸した

▼愛郷心や被災地支援など制度本来の趣旨が浸透したこともあるが、最大の要因は自治体による返礼品が充実したことだ。当初は割引券や優待券程度だったが、地域の特産品が加えられ、商品券や家電などもリストに。中には寄付金の7割を返礼品に充てていた自治体もあった

▼インターネットでは返礼品が一覧できる「ふるさと納税サイト」が多数あり、人気ランキングも掲載されている。ネットショッピング感覚でサイトが利用され、税金が何に使われているか気に留める人は少ない

▼総務省は「制度全体に対する国民の信頼を損なう」と危機感を抱き、今月、返礼品を寄付額の3割以下に抑えるよう全国の自治体に通知した。「ふるさと」という言葉が変質せず、いつまでも日本人の心のよりどころとなるよう願うばかりだ。