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コラム 記者ワープロ

日日草

(5/13)

 旧友が最新の電子楽器を買った。「五十の手習い」よろしく、練習用にと買い求めた。上達はそう望めないだろうが、楽器の性能が本人の力量をカバーして余りある

▼ステージでも気軽に使えそうな代物だ。音楽には疎かったはずなのに、どういう風の吹き回しか合奏したいと言いだし、早々に楽器店で購入した。3月に仲間に初披露した時は上手、下手を問う前に、その行動力に感心しつつ電子音の威力に驚かされた

▼一方、こちらは昔から評価が高い楽器に一石を投じたニュースに驚いた。何せバイオリンの名器「ストラディバリウス」と現代製バイオリンとを弾き比べたパリ大などによる実験で、聴衆は響き方や好みの面で現代製に軍配を上げたというのだ。数億円の値段が付く名器の価値は、どこに求めるべきなのだろう

▼破格な値段の高級ワインと手頃なワインを飲み比べて、後者をおいしいとするケースに似ていなくもない。ただ、個人の好みが異なって当然の飲み物に対し、音の良しあしの判断は大きな差が出にくい

▼演奏会で熱狂的な拍手とブーイングの嵐が同時に起こるケースはまれだ。ストラビンスキーのバレエ音楽「春の祭典」が104年前に初演された際、複雑なリズムや不協和音の楽曲に聴衆が怒りだし、賛否が渦巻き大混乱になったエピソードが伝わる

▼今回の実験結果は名器の音が現代人の好みに合わなくなったのか、あるいは現代楽器の製作技術が上がったためなのかは明確にしていない。今はクリアなサウンドが好まれ、渋みや深みのある生の音を傾聴する人が少数派だということも十分考えられる。