ホーム 県内外 一関・両磐 胆江 北上 花巻 動画ニュース
2017年6月
« 5月  
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
コラム 記者ワープロ

日日草

(6/6)

 「殺人犯はそこにいる」(清水潔著・新潮社)を読み返した。いわゆる「文庫X」である。昨年7月、盛岡市の「さわや書店フェザン店」がブックカバーでタイトルや著者名を隠したまま販売し全国的に話題となった

▼「調査報道のバイブル」とも称される。ウォーターゲート事件、田中金脈問題、旧石器捏造(ねつぞう)事件など、これまでも反響の大きかった「調査報道」は数多くあったが、本書は何とも言い難い読後感に襲われる

▼1979~96年に栃木、群馬の県境で発生した5件の幼女誘拐・殺人事件を扱っている。読んだ人はどんな感想を抱いたのだろうとネット上の読者コメント欄を見ると、「怒りに震えた」「多くの人が読むべき」「一気に読んだ」と絶賛の声。中には詳細な資料を示しながら疑問点を指摘するなど大きな反響を呼んでいる

▼なぜ何の罪もない5人の少女が犠牲になったか、冤罪(えんざい)で17年間も服役することになった不条理さ、いまだ真犯人が逮捕されずにいるという事実を徹底的に追う。「一番小さな声」を聴きながら

▼それにしても少女たちの無念さ、遺族の悲しみと怒りは想像を絶する。一方で市井の人には到底理解し難い警察、検察、裁判所の論理に憤りを覚える。読み進むうちに考えなければならない事柄が増え「一気読み」はできなかった

▼組織犯罪処罰法改正案が参院で審議中だ。法務委員会の参考人質疑で「誰が検挙・処罰されるかは運用者によって決まる」と指摘する声があった。本書の一つのテーマにもなっている誤認逮捕も恐ろしいが、運用者の思い一つで捜査、逮捕されるようなことがあったら…。