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コラム 記者ワープロ

日日草

(6/18)

 天才、日本の宝、神の子…。将棋の藤井聡太四段がプロデビューから公式戦負けなしの27連勝を飾った。26勝目となった15日の対局は約13時間に及ぶ長丁場。それでも「途中で形勢を少し損ねてしまった。記録は意識せずにしっかり対戦していきたい」と中学3年生とは思えぬコメント。恐れ入る

▼プロ棋士になるには奨励会に入会しなければならない。優勝経験のある全国の子供たちが挑むがほとんどは入会すら許されない。入会しても6級から三段までの奨励会で規定の成績を挙げなければならず、ここでも多くがプロへの道を閉ざされる

▼藤井四段は三段リーグを13勝5敗の成績で突破し、史上最年少プロ棋士となった。この時、12勝6敗で5人が並んでいる。2人しか四段に昇段できないため、4人は改めて三段リーグで戦う。26歳までにプロになれなければ基本的に退会となり、降段・降級もある

▼奨励会員の夢と挫折を描いた「将棋の子」(大崎善生・講談社)にこんなシーンがある。「こっち、奨励会をやめます。…自分や父や母の人生をまるで生(い)け贄(にえ)のように捧げてきた青年が、膝を震わせながら、それを捨てようとしている」

▼天才と呼ばれて入会した少年はその後どん底の日々を送るが、退会時にもらった一組の駒は肌身離さず持ち歩いていた。「落ちるところまで落ちたけど、この駒が勇気をくれるんだ」

▼将棋が注目されている今こそ読んでほしい一冊だ。将棋の指し方が分かる人には漫画「5五の龍」(つのだじろう・中公文庫)がお薦め。最多連勝タイ記録「28」が懸かった対局は21日に行われる。