第91回全国高校野球選手権大会(8月8~24日、兵庫県西宮市・阪神甲子園球場)で、本県代表として2年ぶり5度目、春夏連続で出場した花巻東は並み居る強豪を打ち破り、県勢90年ぶりの4強入りという歴史的快挙を成し遂げた。目標の日本一は果たせなかったものの、センバツの準優勝に続く好成績を残し、強さを実証した。春夏続けての花巻東の快進撃を監督、選手の証言を交えてひも解く。(5回続き、文中敬称略)
「監督を男に」 思いは一丸

喧騒(けんそう)の中で始まった夏への挑戦。センバツ準優勝後の祝賀行事や取材が相次ぎ、チーム状態は上向く気配はなかったが、春の東北大会1回戦で青森第3代表の八戸西に敗れたことが、立ち直りのきっかけとなった。
チーム内で話し合いを重ねた結果、たどり着いた結論。「甲子園で監督を胴上げしよう」。もともと、「野球選手を育てるのではなく、野球ができる立派な人間を育てる」をモットーとする佐々木洋監督を慕って花巻東入りを決めたナインも多く、その指揮官を男にするという思いでチームは一丸となった。
1回戦の長崎日大(長崎)戦に勝利した後、粘投を終えた菊池雄星(3年)は「監督は夏にまだ勝っていない。1勝をプレゼントできて良かった」と佐々木監督への思いを真っ先に口にした。
さらに、指揮官と選手のきずなの象徴とも言えたのが、2回戦の横浜隼人(神奈川)戦。佐々木監督がコーチを務めたことがある古巣で、敵将の水谷哲也監督が佐々木監督の仲人にも当たる「因縁の対決」となった。
試合前、佐々木監督は「個人的にはいろいろな思いはあるが、やるのは生徒」と平常心を装ったが、決戦前日には柏葉康貴(同)や猿川拓朗(同)らと頭を突き合わせて「分かっているな。絶対に負けたくないから頼むぞ」と“懇願”。これに対して選手たちは「分かっています」と意気に感じて笑顔で返答した。
円陣を組んで「監督のためにも勝つ」と声を張り上げて臨んだ一戦では、1-1の同点から柏葉が公式戦初となる本塁打を左翼席にたたき込んだ。殊勲の柏葉は三塁を回る際に「監督のために打った」と言わんばかりに指揮官を指さし、試合後には「監督の野球の素晴らしさを証明したかった」と胸を張った。当の佐々木監督は「本当にうれしかった」と目頭を熱くして喜んだ。
準決勝で中京大中京(愛知)に敗れた後、佐藤涼平(同)は「監督を胴上げできなくて悔しい」と涙した。ほかの選手も同様だった。そんなナインを「最高のチーム」と佐々木監督はたたえた。
春夏ともに目標とした全国制覇にはあと少し届かなかったが、指揮官と選手の信頼関係は、どのチームにも負けないほど固いものだった。
「監督を男に」 思いは一丸

横浜隼人戦で本塁打を放った柏葉から指をさされ苦笑する佐々木監督(右)。ナインとの固い結束が4強入りの原動力になった
チーム内で話し合いを重ねた結果、たどり着いた結論。「甲子園で監督を胴上げしよう」。もともと、「野球選手を育てるのではなく、野球ができる立派な人間を育てる」をモットーとする佐々木洋監督を慕って花巻東入りを決めたナインも多く、その指揮官を男にするという思いでチームは一丸となった。
1回戦の長崎日大(長崎)戦に勝利した後、粘投を終えた菊池雄星(3年)は「監督は夏にまだ勝っていない。1勝をプレゼントできて良かった」と佐々木監督への思いを真っ先に口にした。
さらに、指揮官と選手のきずなの象徴とも言えたのが、2回戦の横浜隼人(神奈川)戦。佐々木監督がコーチを務めたことがある古巣で、敵将の水谷哲也監督が佐々木監督の仲人にも当たる「因縁の対決」となった。
試合前、佐々木監督は「個人的にはいろいろな思いはあるが、やるのは生徒」と平常心を装ったが、決戦前日には柏葉康貴(同)や猿川拓朗(同)らと頭を突き合わせて「分かっているな。絶対に負けたくないから頼むぞ」と“懇願”。これに対して選手たちは「分かっています」と意気に感じて笑顔で返答した。
円陣を組んで「監督のためにも勝つ」と声を張り上げて臨んだ一戦では、1-1の同点から柏葉が公式戦初となる本塁打を左翼席にたたき込んだ。殊勲の柏葉は三塁を回る際に「監督のために打った」と言わんばかりに指揮官を指さし、試合後には「監督の野球の素晴らしさを証明したかった」と胸を張った。当の佐々木監督は「本当にうれしかった」と目頭を熱くして喜んだ。
準決勝で中京大中京(愛知)に敗れた後、佐藤涼平(同)は「監督を胴上げできなくて悔しい」と涙した。ほかの選手も同様だった。そんなナインを「最高のチーム」と佐々木監督はたたえた。
春夏ともに目標とした全国制覇にはあと少し届かなかったが、指揮官と選手の信頼関係は、どのチームにも負けないほど固いものだった。