「甲子園の風ってすごい」

練習前に円陣を組んで盛り上がる花巻東ナイン。取材を通じてさまざまな表情を見せてくれた
練習前に円陣を組んで盛り上がる花巻東ナイン。取材を通じてさまざまな表情を見せてくれた
 今回は番外編として、試合の前後や練習中に記者と交流する中で、紙面で伝えられることがなかった花巻東ナインのコメントを紹介する。大会期間中には笑いあり、涙ありで高校生らしいさわやかさやユニークな一面を披露してくれた。少しでも選手の人柄、内面に触れてもらえれば-。

 ◆まずはエースの菊池雄星(3年)。大会中には取材陣だけでなく多くのファンに囲まれ、外出中に声を掛けられることも多かったという。その中でも印象的な一言。「阪神で待ってるよ、って言われました」。ドラフトの目玉に挙げられる全国ナンバーワン左腕。阪神の1位指名候補と伝えられる中、虎ファンたちの切なる思いも垣間見えた。

 ◆続いてはムードメーカーの横倉怜武(同)。1回戦の長崎日大(長崎)戦の八回、背中に死球を受けた。逆転に一役買った形だが「ボールが当たる前に『いてぇ』って叫んでました」。その大きな声がチームを波に乗せた。

 ◆長崎日大戦で、走者一掃の二塁打で勝利に貢献した佐々木大樹(2年)は、左翼を守って3本塁打が頭上を越えるのを見詰めた。その印象を「甲子園の風ってすごいんだなと思いました」。相手打線について聞いたんだけれども…。

 ◆山田隼弥(同)は3回戦の東北(宮城)戦で放った左前適時打について「普通ならショートゴロ。何であんなに空いていたのか分かりません」。野手のいない所に打った技術に胸を張るべきだ。

 ◆準々決勝の明豊(大分)戦で初めて左翼に入り、浜風に流される打球を何とかランニングキャッチした齋藤奨(同)は、試合後にそのシーンを振り返りながら「今考えると、ぞっとします」。捕れなかったら失点は必至だっただけに、好プレーだった。

 ◆その明豊戦で、齋藤と同じく初登場となったのが柴田貴博(同)。八回1死一塁で代打で起用され、ベンチのサインはバントだったが「緊張し過ぎて、ロージンバッグを使うのを忘れていました」。それにもかかわらず役割はきっちりと果たし、好機を演出した。

 ◆続いても明豊戦。相手の今宮健太(同)の154キロの剛速球をファウルにした佐藤隆二郎(同)は「めちゃめちゃ速かったです。本当に」。それを当てたのだから、自慢してください。

 ◆準々決勝の中京大中京(愛知)戦で救援したものの、猛打を浴びた猿川拓朗(同)。もともと投球練習などは好きでなく「あれだけ打たれたら、ピッチャーはもういいです」。未練はない?

 ◆最後に佐々木洋監督。恩師との対戦となった横浜隼人(神奈川)戦を前に、学生時代を振り返りながら「先輩の命令には『はい』か『イエス』しかありませんでした」。体育会系の縦社会。先輩からの言葉は絶対だったようだ。(文中敬称略)