楽しんで頂点へ

岩手大会を制し、歓喜の一関学院ナイン。甲子園でも笑顔で進撃する
岩手大会を制し、歓喜の一関学院ナイン。甲子園でも笑顔で進撃する
 一関学院は2008年春に出場して以来、甲子園とは縁がなかった。春夏連続出場を目指した同年夏は、3回戦で延長の末に盛岡大附に敗れた。続く秋は東北大会で準優勝し、09年春のセンバツ出場は確実とみられていたが、県大会での戦いぶりなどから花巻東にその座を譲った。昨夏は花北青雲に初戦で敗れ、秋には県大会で優勝を果たしたものの、東北大会で初戦敗退を喫した。

 「今度こそは」との決意を強くして臨んだ岩手大会の序盤、一関学院ナインの表情には明らかに硬さが目立っていた。沼田尚志監督も「初戦はガチガチ。去年の初戦負けがあったので、選手に勝たなければならないというプレッシャーがあった」と振り返る。

 2戦目の軽米戦も硬さは抜けず、辛くも勝った後に沼田監督は選手に呼び掛けた。「もっと楽しんでやろう。うそでもいいからリラックスして笑え」。この言葉が選手をよみがえらせた。「それまでは伸び伸びやっていなかった。思い切り楽しんでやろうと思った」と宮本涼主将(3年)。練習から笑顔が増え、そこから生まれ変わったかのようにチーム状態は一気に上がった。

 決勝の盛岡大附戦前も、指揮官は「今までで一番楽しい試合にしよう」と声を掛けた。その言葉通り、試合中も「楽しくやろうぜ」という声が飛び交い、優勝旗を手にした後には宮本主将が「心から楽しめた」と言えば、荒木俊樹(同)も「楽しんでやるだけだった」と全員の思いを代弁した。

 甲子園に向けた意気込みを選手に聞くと、異口同音に「楽しんでやりたい」「笑顔を忘れず」という言葉が返ってくる。「楽しむ」「笑顔」が、チームにとってのキーワードにもなっているようだ。

 昨夏の甲子園では花巻東が劇的な勝利を続けて県勢90年ぶりとなるベスト4まで勝ち上がり、県民を大いに感動させた。一関学院にも期待が掛かるが、沼田監督は「花巻東が岩手の土台をつくってくれた。それに恥じないよう、花巻東に匹敵するような試合をしたい」と重圧はない様子。笑顔で大舞台に臨む一関学院ナインが、楽しみながら頂点を目指していく。

(報道部・北村亮)