2度の失敗生かし調整成功

センバツ出場が決まり、ナインと共に喜ぶ佐々木監督=1月23日、花巻東高
センバツ出場が決まり、ナインと共に喜ぶ佐々木監督=1月23日、花巻東高
 センバツ出場校の選考委員会が開かれた1月23日、佐々木洋監督は期待と不安が入り混じる中でその時を待った。結果は“当確”。花巻東のセンバツ初出場が決まった。

 「選出される可能性はかなりあると思っていた。選ばれたときに恥ずかしくないゲームをするために、準備だけはしておこうと思って、秋から冬にかけてそれなりの練習をしていた」

 歓喜の瞬間から、センバツに向けた挑戦が本格的に始まった。だが、地方大会から全国選手権まで間がない夏と違い、春は2カ月近く期間が空く。すべてが初体験で戸惑いの連続だった。

 「春用の練習は当然必要だが、夏のための練習も欠かせず迷った。一関学院の沼田(尚志)監督からもいろいろアドバイスしてもらった。合宿は三重、千葉で2回やったが、プロのキャンプでの第1、第2クールのように間を置いたのは成功した。続けてやっていたら、選手は壊れていたかもしれない」

 さらに、過去2回の甲子園出場経験が大きかった。いずれも苦杯を喫していたが、失敗の教訓が生かされる。

 「いかに体をいい状態に持っていくか、戦う状態に持っていけるかがポイント。以前は長期間の滞在で筋力が落ちてしまったので、今年はウエート器具を現地に持ち込んだ。病院関係者も知り合いになり、風邪を引いた際には部屋まで来てくれるようになっていた」

 教訓は調整に限らない。甲子園では練習時間が制限されるなど規制が多く、報道対応も重要。以前は佐々木監督が一人で対応していたが、スタッフの充実が図られた。

 「過去2回はわたし自身が振り回されてイライラしていた。それは選手にも伝わってしまっていた。だが、今回は部長に任せられる部分は任せるなど、体制が整った。わたしも余計なことを考えずに集中して試合に臨めた。目に見えない部分が大きかった」

 花巻東はまさに万全の状態で、本番を迎えることになった。

◇  ◇

 今年最も県民を熱狂させた高校野球の花巻東。その激闘の日々を、指揮を執った佐々木監督の証言、裏話を交えて振り返る。(5回続き)