構成資産を5つに絞り込んだ4月4日の第5回推薦書作成委=文科省
構成資産を5つに絞り込んだ4月4日の第5回推薦書作成委=文科省
 「平泉の文化遺産」は十三年の世界遺産の暫定リスト登載時、平泉町内の中尊寺、毛越寺、無量光院跡、柳之御所遺跡の四つが構成資産だった。ところが、当時の世界遺産委員会の中で資産のスケールの大小が議論されたのを踏まえ、一関市、奥州市を含む五資産が追加され、九つで登録実現に向け本格的に動きだした経緯がある。

 文化庁の担当官、県教委生涯学習文化課の中村英俊文化財・世界遺産課長も「広域にしてストーリー性に厚みを持たせないと登録は難しいとの空気だった」と振り返る。ところが世界遺産委での結論は「登録延期」という関係者にとって厳しいものだった。

 特に、一関市の骨寺村荘園遺跡、奥州市の白鳥舘遺跡、長者ケ原廃寺跡については、主題の「平泉-浄土思想を基調とする文化的景観」との関連性が薄いとの指摘を受け、登録実現に当たっては評価基準に合致する推薦書の作成と提出を迫られている格好だ。

 昨年九月から始まった推薦書作成委員会と二回の国際専門家会議では、主題が「浄土」に傾斜することに併せて構成資産を絞り込む空気が強まり、最終的に浄土世界にかかわりが深く価値の証明ができる五資産を優先させて登録を目指す方向性を確認した。

 「文化遺産」の九つの資産をめぐり、説明を聞いた国際専門家の視点と分析、見通しなどが大きく変更する理由となったことは明白だが、国の威信を懸けて登録を実現しなければならない立場に置かれた同作成委としても、後戻りのできない状況下にあるだけに厳しい決断を下す結果ともなった。

 絞り込みに当たっては主題に沿った形での普遍的価値の証明が大きな判断材料となったようだが、世界遺産委から指摘された事項について、完全に証明し、基準と合致する方向性も明示しなければならないだけに、手続きの時間を意識しつつ難しい作業が続くのは必至だ。