中尊寺とのかかわりの深さを示す本寺地区の行事「骨寺村荘園米納め」。地元住民は追加登録実現をしっかり見据えている=20年12月20日
中尊寺とのかかわりの深さを示す本寺地区の行事「骨寺村荘園米納め」。地元住民は追加登録実現をしっかり見据えている=20年12月20日
 「本寺地区は稀有(けう)な地域、血統書付きの農村。景観を守りながら地域づくりを進めるこれまでの活動、目標は何ら変わらない。気落ちしないでほしい」。一関市厳美町の本寺地区地域づくり推進協議会アドバイザーの広田純一岩手大農学部教授は、骨寺村荘園遺跡が世界遺産候補地から外れたことにショックを受ける地区民にエールを送る。

 同推進協は世界遺産登録を視野に十六年三月に発足。稲作の生産性向上に向けた圃場(ほじょう)整備事業をあきらめ、住民間で話し合いを何度も重ね登録実現への足並みをそろえてきた。

 若者が少なく高齢化が進む中山間地。生活の糧を水田農業に求めたかったが、文化的景観との“両立”は不可能で、高齢化も待ったなしで進む。それだけに、田植えや稲刈り体験などの行事、オーナー制度創設、ブランド米や特産品開発といった取り組みを急いできた。

 二十年は関係団体などを加えて活動の実践組織、骨寺村二十一世紀フォーラムを結成し、農水省のモデル事業で五カ年のふるさとづくり計画を策定。二十一年度は軽食レストランの運営も始める予定で準備に乗りだした。

 佐藤勲会長は「圃場整備をあきらめることは苦渋の選択だった。高齢化が進むだけに、住民の一番の願いは生活の保証。将来を考え、懸命に活動を続けてきた」と強調。誘客の最大の“武器”がなくなることによる悪影響を不安に感じつつも「後戻りはできない。登録がいつ実現するか分からないが、あきらめずに、たとえ実現の夢がかなわなくても前に進むだけ」。切実な思いを語る。

 地区内では空き家を改修する形で、重要文化的景観や遺跡の紹介をはじめ農村文化の体験の場、休憩の場となる体験交流施設の整備が着々と進んでいる。

 推薦書作成委員会に出席した坂本紀夫副市長は「(骨寺村荘園遺跡を含む)四つを入れたことで、本体そのものの登録が駄目になっては意味がない。地元も頑張っている。どうすれば骨寺が浄土思想と結び付くか、次の登録に向け国と一緒に課題を整理したい」と前を見据える。