観光客に史跡の説明をする地元のボランティアガイド。追加登録の実現を願い、今年度も5月から活動を開始する(資料=長者ケ原廃寺跡)
観光客に史跡の説明をする地元のボランティアガイド。追加登録の実現を願い、今年度も5月から活動を開始する(資料=長者ケ原廃寺跡)
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産登録を目指す「平泉」の構成資産から外れた四資産のうち白鳥舘遺跡(前沢区)、長者ケ原廃寺跡(衣川区)の二つを抱える奥州市。いずれも「顕著な普遍的価値」の証明が不十分と指摘され、追加登録の可能性に望みを掛けることになった。

 相原正明市長は「九資産登録を信じて、住民と共に期待し盛り上げてきた。極めて残念だが確実な登録のためであり、残り四資産を追加登録で進める方針ということであれば理解せざるを得ない」と、慎重に言葉を選んだ。

 両資産が国指定史跡となったのは十七年七月。平泉町、一関市の九資産で世界遺産登録を目指す取り組みがスタートした。市町村合併で十八年二月に奥州市が誕生した後は世界遺産登録推進室(前沢総合支所内)を設置し、二十年度までに両史跡に仮設の史跡案内所とトイレを設置した。

 また、白鳥舘遺跡で史跡内遊歩道整備、長者ケ原廃寺跡では築地(ついじ)内公有地化などに取り組んだ。両史跡の発掘調査も年次計画に沿って進められている。観光面では昨年十月、奥州藤原氏の初代清衡が江刺郡豊田舘(とよだのたち)から平泉へと本拠を移した故事を再現する祭り「清衡公遷都行列」が初めて開催された。相原市長は「今後さらなる整備や発掘調査の促進など、何らブレーキをかける問題ではない」と、追加登録が実現するまで市の各種施策を継続する決意を示す。

 両史跡で昨年度からボランティアガイドを務める市世界遺産ガイドの会の大内浩生会長(70)=前沢区=は「残念の一言に尽きる。追加登録が唯一の望みとなったが楽観はできない。よほどのストーリーを描かない限り厳しいだろう。ともあれ、平泉がまず登録されなければ何も始まらない」と無念さをにじませながらも冷静に分析。「構成資産から外れても、両史跡の価値はいささかも減じたわけではない。追加登録が実現するまでガイド活動は継続したい」と前を向く。