
追加登録への“切り札”として住民の期待を集める衣川区の接待館遺跡(資料=17年10月)。国・県は価値を認めながらも、時間がかかり過ぎることを理由に、長者ケ原廃寺跡に絞る方針
このうち衣川区では住民から「長者ケ原廃寺跡だけでなく、接待館遺跡を含めた衣川左岸遺跡群という大きな枠組みで調査範囲を広げるべき。浄土庭園都市という形で進めた方がよい」という指摘があった。接待館遺跡は「柳之御所遺跡に匹敵する遺跡」と高い評価を受けており、市教委が国史跡指定を目指すことを先月表明したばかり。時期が時期だけに、説明会では住民の期待の大きさがうかがわれた。
これに対して文化庁と県教委は「衣川左岸周辺はまだまだ調査されていないエリアが多い。今後調査計画を作る必要がある。ただ、すべて民有地であり長期スパンで考えなければならない。接待館は堤防用地という事情で発掘が進んだ。どこまで世界遺産登録とリンクさせられるかは、一刻も早く長者ケ原廃寺跡を追加登録したいという思いと、衣川左岸を解明したいという思いの調整となる」とし、趣旨を理解しながらもスケジュール的な問題から長者ケ原廃寺跡の追加登録を優先する意向を示した。
文化庁は一貫して「準備ができた所から順次、追加登録にチャレンジする」と繰り返した。「準備」とは、発掘などにより新たな発見・知見があればという条件付きであることをも表している。発掘調査などの費用に国・県が積極的な援助を約束したとはいえ、住民の不安が払拭(ふっしょく)されたわけではない。