開山1150年祭を開催中の平泉町・中尊寺は、新讃衡蔵の企画展「復元へのこころみ」を開催している。展示されている復元品6点をシリーズで紹介する。

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金色堂模型

 藤原四代公の遺体が安置されている金色堂は、初代清衡公が死去する四年前の天治元年(一一二四年)に建立された。間口、奥行きとも約五・四五メートルの単層方形造り。壁、柱、組み物、垂木まで、すべてに厚く漆を塗り、その上に金ぱくを施している。二重の垂木は、下側は少し、上側は大きな反りを打ち、平安建築の美を見せている。

 金色堂復元模型は、縮尺五分の一で、昭和三十七−四十三年の金色堂解体復元修理の際に携わった学者や工人が、四十年に研究目的で製作した。軒先に至るまでの金ぱくの外観、巻柱、漆螺鈿(らでん)、高欄など、細部まで実物と同じ造りで、平安美術工芸の粋を再現した。

 屋根の後ろ部分は、わざと木瓦(かわら)も付けず、内部の骨組みが見えるように工夫されている。



金銅華曼(こんどうけまん)

 国宝・金銅華曼(こんどうけまん)は、藤原時代の彫金工芸を代表するもので、金色堂内陣に飾られている。本来、生花をひもで連ねて結び、仏殿内陣を飾ったもの。牛皮や板、銅板に花の文様を彫って飾ったものもあるという。

 うちわ形の金銅板金に宝相華唐草(ほうそうげからくさ)文様を透かし彫りし、周囲に覆輪(ふくりん)をめぐらせている。中央は揚巻(あげまき)結び。左右に天女と鳳凰が合わせた想像上の鳥、迦陵頻伽(かりょうびんが)が優雅に配されている。中尊寺には、迦陵頻伽の造りが浮き彫りと線彫りの二種類ある。

 東京国立博物館が、昭和十二年に技術検証で復元した。

 縦二十八・五センチ、横三十二・八センチ。浮き彫りと線彫りの二種類がそれぞれ復元され、展示では両方を見ることができる。



螺鈿平塵燈台(らでんへいじんとうだい)

 国宝・螺鈿平塵燈台(らでんへいじんとうだい)は、机である平塵案と共に大長寿院経蔵の堂内具の一つで、昔人が灯をともしたもの。

 黒漆塗りの地に金粉をまいて研ぎ出した沃懸地(いかけじ)に、螺鈿の宝相華(ほうそうげ)文様という技法で装飾されている。

 円盤の台と方柱、その上に油の受け皿を乗せた簡素な造り。均衡の取れた美しい形態で、方柱には、清楚(そ)なチョウの文様が見える。

 傷みが激しく、中尊寺が昭和三十年代に複製品を作った。

 高さ八十一センチ、底径二十四・八センチ。復元品ではないため、黒漆の色はややかすんで見える。赤や青色の玉が埋め込まれていたが、実物のはく落がひどいために正確な配色が分からず、複製品には埋め込まれていない。



巻柱(まきばしら)

 巻柱(まきばしら)は、国宝・金色堂の内陣を囲う四本の柱で、工芸的にも、建築的にも技術の粋を尽くしたもの。

 八角形にそいだヒノキ材の芯(しん)木の周囲に八枚のスギ材をくぎ付けして素地にしている。直径二十七センチ。建築大工の手法ではないことから、仏師が造営にかかわったことがうかがえるという。

 表面は、黒漆塗りの地に金粉をまいて研ぎ出した沃懸地(いかけじ)に、螺鈿(らでん)細工で仕上げている。

 装飾は、柱のほぼ上半分を三段に分け、各段に四体の円相仏画が蒔絵(まきえ)研ぎ出しの手法で描かれている。

 光背の外側には、鍍銀(とぎん)板を付けて月輪を表し、地文は、上段を七宝繋文(しっぽうつなぎもん)、中段を宝相華文(ほうそうげもん)、下段を石畳文の蒔絵で埋めている。

 日光市のうるし博物館が復元した。製作工程が分かるように、素地から螺鈿細工、蒔絵、金具などが完成するまでの三十二工程を一本の柱で表現している。



螺鈿平塵案(らでんへいじんあん)

 大長寿院経蔵の堂内具の一つである国宝・螺鈿平塵案(らでんへいじんあん)。「案」とは、香炉など仏具を乗せる台、机のことで、木造、黒漆塗りの地に金のやすり粉をまいて研ぎ出した沃懸地(いかけじ)に、螺鈿の宝相華唐草(ほうそうげからくさ)文様で装飾している。先端で外に巻き返された鷺脚(さぎあし)と呼ばれるきゃしゃな脚線は、当時の平安貴族の流行で、繊細な感覚がうかがわれる。

 文化庁が、工人の技術保存のために復元に取り掛かり、十二年七月二十五日に完成したばかり。
 高さ七十七・五センチ、甲板縦三十三・五センチ、横六十六・三センチ。実物ではほとんど失われた玉が復元され、埋め込まれた赤、青、緑、黄色の玉が、光を受けてきらきらと輝く。

 三十年以上もの間、東京国立博物館に寄託されていたが、今回里帰りし、展示されている。



螺鈿八角須弥壇(らでんはっかくしゅみだん)

 大長寿院経蔵の国宝・螺鈿八角須弥壇(らでんはっかくしゅみだん)は、中尊寺創建当時の壮麗な漆芸、金工装飾は他に類を見ない、平安時代後期の代表作。木造黒漆塗りの八角形の台壇で、経蔵の本尊・文殊菩薩像と四侍者像(重要文化財)を安置している。

 中尊寺が平成八年から復元に取り組み、十二年三月にやっと完成した。

 高さ五十二センチ、長径百九十四センチ。実物と同じヒバ材を素地とし、漆地は金粉をまいて研ぎ出した沃懸地(いかけじ)。八画の側面には、上下には密教法具の三鈷杵(さんこしょ)、左右には宝珠鈴(ほうじゅれい)の螺鈿細工が七色に輝く。鏡板には、天女と鳳凰(ほうおう)を合わせた空想上の鳥である迦陵頻伽(かりょうびんが)が打ち出され、平安の優美を醸している。