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コラム 記者ワープロ

紅葉の山に「鉄柱」 栗駒 火山活動観測で機器

(10/6)
山頂から天狗岩までの如来稜線そばにそびえる傾斜計と広帯域地震計の中継点

山頂から天狗岩までの如来稜線そばにそびえる傾斜計と広帯域地震計の中継点

防災目的、登山客には不評

 岩手、宮城、秋田の3県にまたがる栗駒山(1626メートル)で、火山活動の観測機器が増設された。秋山の自然美の中で無機質な鉄柱が異彩を放ち、行楽客からはいぶかしげな声が聞かれる。仙台管区気象台は「栗駒山は登山者が多い景勝地だが活火山。防災のため重要な役割を持つので、皆さんのご理解を頂きたい」としている。

 栗駒山は四季折々の風景を楽しめるほか、須川温泉は毎分6000リットルもの湧出量を誇り、江戸時代から湯治場として親しまれてきた。一方で1944(昭和19)年、小規模の水蒸気噴火で飛散した泥土で磐井川が濁り、魚類に多数被害が出た。噴火地点は乳白色の水をたたえ、新たなビュースポット・昭和湖となった。

 2014年9月の御嶽山噴火以降、気象庁は全国で火山の監視体制を強化。栗駒山も同様で16年8~9月、県内に▽傾斜計(野営場)▽広帯域地震計(地獄釜付近)▽火口カメラ(展望岩頭)▽火口カメラ中継点(天狗平)▽傾斜計と広帯域地震計の中継点(山頂付近)-の5基を新設した。

 山体の膨張・収縮を観測する傾斜計は地下埋設型だが、広い周波数範囲の地震動を記録できる広帯域地震計、可視映像と赤外線映像(サーモグラフィー)を撮影する火口カメラ、各中継点の設備は、正確な計測とデータ送信、中継のため「譲れない高さがある」(同気象台)。必要最低限の高さに設計したというが、山頂付近の中継点は6・5メートルを超える。

 紅葉を楽しむ行楽客でにぎわう須川コースは、往路の賽走りからは山頂を左手に仰ぎ見る道のりだが、奇岩・天狗岩に加えて中継点も見えるように。分岐点の天狗平から山頂までの如来稜線では眼下に赤と黄色のグラデーションを描く絶景が広がるが、カメラを向けると中継点が入り込む。行楽客への理解は広まっておらず、「電波塔が建ったのか」「せっかくの景色が台無しだ」などの声もある。

 火山の恩恵にあずかるには、噴火の脅威と共生するための防災・減災の取り組みが不可欠だ。火口カメラの運用により、同気象台では昭和湖周辺の温度変化を常時監視。「名勝の一等地に設置したが、住民や登山者の安全・安心を守るためご理解、ご協力いただきたい」としている。

 登山客のガイドを務める吉家省吾一関勤労者山岳会長は「もう少し景観と融合するよう配慮してほしかったが、人命第一なのでやむを得ない。ガイドでは火山情報のチェックが必須で、今後はより正確な情報が得られる。栗駒山を活火山と知らない人もおり、機器の役割について説明しながら案内したい」と話している。