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コラム 記者ワープロ

筆で自己表現 さくらなみき自閉症美術館

(10/22)

アスペルガー症候群 慧風さん初個展

初個展「siwaza project」で墨彩画などを展示している慧風さん

初個展「siwaza project」で墨彩画などを展示している慧風さん

 一関市を拠点に筆文字作家・芸術家として活動するアスペルガー症候群(AS)の慧風(えふう)(本名鈴木善幸)さん(39)は、初の個展「siwaza project」を同市中央町1丁目のさくらなみき自閉症美術館で開いている。墨彩画など37点を飾り、来場者を濃淡で描く美しい世界にいざなっている。

 ASは発達障害の一種。他人との社会的関係の形成の困難さ、特定のものへのこだわりといった自閉症と似た特徴を持ち、かつ、知的発達と言葉の発達の遅れを伴わない状態をいう。障害があると理解されにくいが、本人の能力に合わせた支援が必要とされている。

 慧風さんは31歳でASと診断され、自己表現について考えるようになり、独学で書を始めた。農業関係の仕事に転職後は、挿絵付きで仕事内容のメモを取る癖が高じ、スケッチブック2冊にわたる業務マニュアルを作成。植物の絵を描くことが好きになり、「きれいだと感動したものを写真で撮るだけでなく、描くことで自己表現に変化させたい」と、絵筆も執るようになった。

 会場には、緑が輝く猊鼻(げいび)渓の舟下りや丸々と実った柿をモチーフにした絵をはじめ、オリジナルの書体で色鮮やかにしたためた「紅梅」「黄金」などの作品を展示。このうち「さくらなみき」は、障害者と健常者を2本の波打つ線で表し、交わることで「桜のように美しいものが爆発的に生まれる」様子を描き、同美術館への期待を込めた。

 「表情から相手の感情を読み取れないため人物画が描けない」と自己分析しつつも挑戦したのは、本県の伝統芸能をテーマにした「鶏舞」「鹿(しし)踊り」「鬼剣舞」の3枚。構図に工夫を凝らし、鶏(とり)兜(かぶと)や面で顔が見えない踊り手を精緻に描写。背景の流れるような薄墨の筆さばきで躍動感と気迫を伝えている。

 「絵や書だけでなく、作りたいものがたくさんある。『あいつの仕業か』と分かってもらえるような作品を手掛けたい」と語る慧風さん。「ASは目に見えず分かりにくい障害なので、もっと広めたい。障害を持っていてもいろんなことができる。作品の多様性を意識しながら鑑賞してほしい」と呼び掛けている。

 入場無料。11月27日まで。開館時間は午前10時~午後5時(最終入館は4時30分)。休館日は月曜日と祝日。最終日午後2時からは慧風さんのギャラリートークを行う。問い合わせは同美術館=0191(48)3622=へ。