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コラム 記者ワープロ

住民の行動が重要 束稲山麓地域

(12/13)
約170人が参加して開かれた束稲山麓地域世界農業遺産シンポジウム。永田氏の講演などが行われた

約170人が参加して開かれた束稲山麓地域世界農業遺産シンポジウム。永田氏の講演などが行われた

世界農業遺産シンポジウム
認定実現へ機運醸成

 束稲山麓地域の農業システムの世界農業遺産認定を契機とした地域の活性化を目指す一関、奥州、平泉の3市町と県南広域振興局は11日、認定に向けた機運醸成を図るため、一関市山目のベリーノホテル一関でシンポジウムを開いた。講演した国連大サステイナビリティ高等研究所シニアプログラムコーディネーターの永田明氏は「認定により住民の新しい行動が生まれ、その行動によって貴重な遺産が次世代に引き継がれるのが世界農業遺産のストーリー。認定された後に何をするかが重要だ」と語り、世界農業遺産の価値を生かすには住民のアクションが不可欠だとした。

 農林業関係者や県民ら約170人が参加。束稲山麓地域世界農業遺産認定推進協議会長の青木幸保平泉町長は「今まで守り伝えられてきた地域の文化、景観、生態系を残していく壮大な計画の下に認定を目指したい。世界遺産平泉をはじめ、世界かんがい施設遺産に選定された照井堰(ぜき)用水、食と農の景勝地として認定されたもち食文化や農業に関する取り組みとともに、この地域を発信していく原動力にしたい」とあいさつした。

 シンポジウムでは、県南広域振興局農政部の田口信一農政調整課長が、認定に向けたこれまでの取り組みを報告したほか、永田氏が世界農業遺産を目指す意義について講演。2015年12月に世界農業遺産に認定された「高千穂郷・椎葉山地域の山間地農林業複合システム」の事例も紹介もされた。

 田口課長は、束稲山麓地域で営まれている伝統的な棚田と遊水地の組み合わせによる水害リスクを分散させた営農システムをはじめ、北上川の氾濫と闘い営んできた農業や農村の景観・文化の保全などの持続可能な取り組みは世界に誇れるものだとし、認定に向けた活動母体の同推進協の設立や今後のスケジュールなどを説明した。

 永田氏は、環太平洋連携協定(TPP)や自由貿易協定(FTA)などを背景に、大規模化による生産効率だけを求める日本農業のありように警鐘を鳴らし、世界農業遺産は日本農業の在り方、食と自然を守り、農村の振興や価値観の転換などを見詰め直すきっかけになるとその必要性を強調。

 世界農業遺産に認定されると、住民に自信と誇り、希望をもたらすとともに、農産物などの付加価値向上やブランド力の強化、6次産業化やグリーンツーリズムとの相乗効果で地域経済の活性化につながるなど国内の事例を基に効果を紹介し、世界農業遺産を目指す意義を説いた。