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コラム 記者ワープロ

紙すきの技 継承へ 楮煮、黒皮剥ぎ 加工法習得

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楮の黒皮を剥ぐ受講生。和紙をすくための原材料の加工について学ぶ

楮の黒皮を剥ぐ受講生。和紙をすくための原材料の加工について学ぶ

東山和紙 職人養成に4人

 一関市東山町に伝わる「東山和紙」は、平安末期の奥州藤原氏の時代から800年の歴史を誇り、最盛期には300人もの専門の職人が紙すきに従事していた。現在職人はわずか2人となっていることから、市は2016年度、紙すき職人の養成に乗り出し地域の伝統工芸、文化の存続と技術継承を目指している。

 東山和紙は自然な色合いと素朴さが特徴で、寒さの厳しい冬期間に紙すき作業が行われる。幕末から明治時代にかけて最盛期を迎え、田河津の各集落などでは軒並み紙すきに従事していた。昭和20年代までは県内外から障子紙としての需要があったが、高齢化や西洋紙の普及などで職人は減少の一途をたどった。

原材料の楮。まきをくべた釜で約1時間煮る

原材料の楮。まきをくべた釜で約1時間煮る

 市の職人募集には昨年7月末までに14人が応募。伝統文化を受け継ぎ、一人立ちできる職人を育成したいという趣旨で厳正な審査を行い、市内から佐藤知美さん、伊藤萌絵さん(以上東山町)、佐々木和廣さん、千葉陽子さん(以上千厩町)の4人が10月から養成講座を受講している。

 東山和紙をすく前には楮(こうぞ)切り、楮煮、黒皮剥ぎ、黒皮干し、楮ひき、白皮洗い、白皮煮、白皮さらしといった原料を加工する工程が必要になる。東山和紙の職人となるには、地元の楮など材料を一から用意することが求められるため、受講生はあらゆる作業を体験する。

 昨年12月9日に開かれた第2回講座では、紙すき館の鈴木信彦代表取締役が講師を務め、同町長坂の山谷和紙共同作業場で受講生が楮煮、黒皮剥ぎなどに挑戦。75センチほどに切った楮を束にして1時間ほど煮込み、軟らかくなっているうちに表皮を剥いだ。

 講座は2月まで全4回の日程。終了後は受講生を3人に絞り込み、4月から2年間の研修で原材料の栽培から紙すきまで一連の工程を身に付ける。鈴木さんは「今の時代、紙すき職人だけで食べていくのは難しいと思うが、何とか末永く続けてくれる人に育ってほしい」と後輩に思いを託していた。

東山和紙

 平安時代末期の1189(文治5)年、鎌倉勢に滅ぼされた奥州平泉の藤原氏の落人が一関市東山町一帯に土着し、農耕の傍らに生活用品として作り始めたといわれる。江戸時代には仙台藩の製紙奨励を受けて広まり、幕末から明治にかけて最盛期を迎えた。材料は主に楮を使い、しなやかさと丈夫さ、素朴さ、自然な色合いが特徴。農閑期を利用して作られ、気温が高いとのりが薄くなるため、特に寒さの厳しい冬期間に紙すき作業が行われる。