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コラム 記者ワープロ

震災、絵本で子供たちに伝えたい 川崎・内田さん

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震災関連の絵本を読み聞かせ活動などで紹介している内田さん

避難訓練、風の電話

2冊を読み聞かせ

 一関市川崎町薄衣字町裏の内田正好さん(71)は、小学生への読み聞かせボランティアなどで東日本大震災関連の絵本を紹介している。絵本は避難訓練の大切さや、会えなくなった人に対する家族の思いの深さを表した内容で、震災を知る題材として多くの人の目に触れてもらおうと、子供たちに披露する機会をつくっている。

 内田さんが紹介するのは「はなちゃんの はやあるき はやあるき」(宇部京子作、菅野博子絵)と、「かぜのでんわ」(いもとようこ作絵)の2冊。「はなちゃん-」は日ごろの避難訓練が生かされ震災で園児全員が助かった野田村保育所、「かぜのでんわ」は大槌町にある「風の電話ボックス」がモデルとなっている。

 「はなちゃん-」の主人公・はなちゃんが通う保育所では、月1回避難訓練が行われているが、のんびり屋のはなちゃんはいつも遅れがち。先生に注意されてから毎日早歩きの練習をするようになる。ある日、保育所のお昼寝中に大きな揺れに襲われて…というストーリー。内田さんは津波が差し迫ってくる場面が特に印象的といい、「柔らかい絵で描かれながらも自然の脅威が十分伝わってくる」と作品が訴え掛ける力を強調する。

 「小学校の読み聞かせでは子供たちも本気になって聞いてくれた。内陸でも大火災や水害、山崩れなどさまざまな災害が起こり得る。絵本を通じて普段からの訓練の大切さを伝えたい」と話す。

 「かぜのでんわ」は、会えなくなった人に自分の思いを伝えると、必ずその人に届くと言われている1台の電話の下に、きょうだいや子供、家族を亡くした動物たちが次々に電話をかけに訪れる。ある寒い夜、線がつながっていない電話からリーン、リーンとベルの音が響く-というあらすじ。

 昨年地元で開かれた文化祭の朗読劇の題材としても用いられ、出演した子供たちは作品に込められたメッセージを懸命に訴えたという。「解決はしないかもしれないが電話でつらい思いを吐き出すことで、苦しみは軽減される。最後の場面では救われる思いがする」と見どころを語る。

 内田さんはNPO法人一関文化会議所理事長。川崎小学校の読み聞かせボランティアや修紅短期大幼児教育学科非常勤講師などを務め、日ごろから児童や学生に絵本の魅力を広めている。「震災を伝える媒体は映像やラジオ、記事などさまざまだが、絵本なら子供も理解することができる。二つの物語の奥深さ、素晴らしさを今後もいろいろな場面で紹介したい」と思いを語る。