ホーム 県内外 一関・両磐 胆江 北上 花巻 動画ニュース
2017年3月
« 2月  
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
コラム 記者ワープロ

平泉・世界遺産シンポジウム 庭園文化に理解深める

(2/6)

世界遺産シンポジウムで平泉と庭園について話す(左から)井上氏、進士氏、藤里氏、千葉氏

 世界遺産シンポジウム「庭園と平泉~藤原氏が求めた極楽浄土の世界~」(世界遺産連携推進実行委員会主催)は5日、平泉町の毛越寺本堂で開かれた。庭園文化に造詣の深い3人をパネリストに迎え、平泉の世界遺産登録5周年の節目に原点に立ち返り、重要な構成資産である庭園への理解を深めた。

 シンポジウムには町内外から約150人が集まった。初めに同実行委会長の青木幸保町長は「平泉の文化遺産は世界遺産登録から早くも5周年となった。奥州藤原氏の文化を象徴する極楽浄土の世界を模索し、その価値と理念を再認識するとともに、この地域の未来の方向性を一緒に考えたい」とあいさつした。

 この後、平泉文化遺産センター館長の千葉信胤氏の進行で、福井県立大学長で造園家の進士五十八氏が日本庭園の空間と景観の特徴、国際日本文化研究センター教授の井上章一氏が日本人の庭園に対する意識、毛越寺貫主の藤里明久氏が平泉の浄土庭園の価値についてそれぞれ発言。浄土庭園が表すもの、寺院造営で藤原氏が目指したものについても意見交換した。

 庭園について進士氏は「安全に囲まれていて中に喜びのある場所」「それぞれの時代の理想」と定義。自然と共生する価値観に加え、縮景や借景、樹芸、年を重ねるほど美しさを増す「さび」「エイジングの美」に日本庭園の特徴があるとし、平泉の浄土庭園は「何百年とかからないと造れない。世界が乱れておかしくなっている今こそ、仏国土は人間の生存にとってのテーマパークだ」と語った。

 日本人の庭園に対する意識について井上氏は、寺院建築よりも庭園を鑑賞する嗜好(しこう)や世界最古の庭造りの指南書「作庭記」から「日本人は庭が一番と考えた民族。建物は庭を鑑賞するために建てられた」とし、浄土式庭園は平安貴族の住居である寝殿造りの延長上に造られたとした。

 平泉の浄土庭園について藤里氏は海や山、川といった自然の要素を取り入れ、自然に対する古来からの崇拝が生かされているとし「仏様が自然の神々に守られた空間が平泉の浄土式庭園の一つの在り方と考えている」と主張。寺院造営で奥州藤原氏はこの世を穏やかな世界へ変えていくことを目指したと述べた。