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コラム 記者ワープロ

犬の感染症 バベシア症 一関で確認

(6/11)

一関でバベシア症を発症した犬の血液標本。円状の赤血球の中にバベシアの原虫(矢印)が確認できる(岩手大・山﨑教授提供)

ダニ媒介東日本でまれ
対策徹底呼び掛け

 一関市内の飼い犬が、東日本では珍しいとされるダニを媒介とする感染症「バベシア症」を発症したことが確認された。バベシア症は貧血や発熱の症状が見られ、最悪の場合は死に至る。これまでは温暖な地域で多く発症していたが、専門家は過去に確認されていたものとは別の種類のダニや原虫(寄生虫)を原因とする可能性を指摘しており、予防対策の徹底や症状が出た場合の早めの受診を促している。

 フレンズ動物病院(同市三関)の鈴木淳院長によると、5月上旬に血尿の症状が見られる犬が同病院を受診に訪れた。鈴木院長は当初、タマネギ中毒や感電、免疫疾患などを疑ったが、血液標本で見慣れない寄生虫のような物体が確認されたため、東京の病理専門機関に分析を依頼。その結果、バベシア症による溶血性貧血と診断された。診断を受けて輸血や抗原虫薬を投与するなど治療を施したところ、現在は回復傾向にあるという。

 バベシア症は、バベシア原虫が犬の体内に侵入、赤血球内に寄生することで、発熱や貧血などの症状が見られるようになる。人に感染した例は報告されていない。原虫はダニを介して侵入するといい、今回も発症の2週間前に犬がダニにかまれていた。

 今回の血液検体は岩手大農学部共同獣医学科の山﨑真大教授に送られ、分析が進められている。山﨑教授によると、バベシア症は中国、四国、九州、沖縄など暖かい地域で多く見られる。関東以北では、西日本に遠征することが多い青森などの闘犬が発症することはあるが、それ以外はほとんどなく、一関で発症した犬も市外に出たことがなかったという。

 山﨑教授が4年前に同大に赴任して以降、これまで盛岡でも同様の症例が2例確認されているといい、闘犬によりバベシア原虫が東北に持ち込まれ、それらがダニに感染して別の犬がそのダニを介して発症する可能性があるとし、今後東日本への感染拡大を懸念している。一方、今回の発症原因となった原虫は、西日本に多く存在する原虫とは別の新種の可能性があるという。2003年に発見された新種は以前から東北に生息していたとみられ、山﨑教授が現在研究を進めている。

 3例の犬はいずれも以前に脾臓(ひぞう)を摘出していたといい、山﨑教授は「別の病気で免疫力が下がっている犬に原虫が感染してバベシア症を起こす可能性がある」と指摘。予防策として、媒介するダニにかまれないよう、ダニが生息するような草むらなどでの散歩を避けることやダニよけのシャンプー使用などを促す。仮に犬がダニにかまれているのを確認した場合には、吸血を防ぐためにすぐに除去することをアドバイスしている。

 鈴木院長も、飼い犬に発熱や血尿のほか、舌の色が普段より白いなど貧血の症状が見られた場合には、早めに受診するよう呼び掛けている。