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コラム 記者ワープロ

路傍の墓に不戦誓う 麗ら舎読書会 2年ぶり「千三忌」

(10/30)
墓前で合掌し、千三を供養するとともに不戦への誓いを新たにする小原さん(前列中央)ら麗ら舎読書会のメンバー

墓前で合掌し、千三を供養するとともに不戦への誓いを新たにする小原さん(前列中央)ら麗ら舎読書会のメンバー

 北上市和賀町の詩人小原麗子さん(81)が主宰する「麗ら舎読書会」のメンバーは29日、同町長沼にある路傍の墓で地元戦没者の冥福を祈る「千三忌」を開催した。戦争で肉親を失った小原さんが悲惨さを後世に継承していこうと始めた取り組みで、今回で31回目を迎えた。戦後71年が経過し、風化が叫ばれる中、墓前で静かに手を合わせ、不戦の誓いを新たにした。

 終戦直前の1945年7月、小原さんは一回り離れた姉を亡くした。闘病中に義兄(姉の夫)が「戦死した」とのうわさを耳にし、絶望した末の自殺だった。1カ月後に終戦を迎えたことから、「もう少しで(帰還した)義兄に会えたのに」と当時を振り返った。兵士のみならず、銃後の家族をも不幸にする戦争の悲惨さを思い知らされた。

 それから20年近くが過ぎて30歳を迎えた頃、一冊の本「石ころに語る母たち」(小原徳志編、未来社刊)に出合った。農村婦人の戦争体験が収められた中に、一人息子の高橋千三に先立たれた母・セキの悲しみがつづられていた。そのエピソードが、姉を亡くした自身の体験と重なった。

 農協退職を機に85年に新居に転居。くしくもその地は、千三を供養するためにセキが建立した墓の近く。44年11月4日にニューギニアで23年の生涯を閉じたとされる息子を誰もが拝めるようにと道端に墓を建立したセキの思いを受け、命日に合わせて「千三忌」と名付けた取り組みを85年に開始した。

 以来、毎年墓参して戦争や平和について考えている。

 戦後70年の2015年は、メンバーの健康上の理由で開催を見送ったため、今回は2年ぶりの開催となった。墓地には小原さんら10人が集い、花を手向けて合掌した後、「石ころに…」の中のセキの思いが記された一節を全員で読み上げて供養した。

 小原さんが「秋の季語になるくらい続けよう」と始めた千三忌。「昨年は供養できず、心残りだったのでほっとしている。全ての人に不幸をもたらす戦争の残酷さを後世に伝えていくため、元気なうちは続けていく」と決意を語った。