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コラム 記者ワープロ

105年の老舗 あす閉店 「町のシンボル」惜しむ声 大塚呉服店

(12/19)
なじみの客(左から2人目)と接する大塚店主(右)ら。惜しまれつつ創業から105年の歴史に幕を閉じる

なじみの客(左から2人目)と接する大塚店主(右)ら。惜しまれつつ創業から105年の歴史に幕を閉じる

 創業105年目となる北上市新穀町の大塚呉服店(大塚綾店主)は、20日をもって閉店する。長年、中心商店街で地域と共に歩んできた老舗が姿を消すことに、なじみの顧客からは惜しむ声が上がっている。

 同店はもともと現奥州市水沢区で米問屋を営み1912(大正元)年、現北上市新穀町で創業。当初は古着と綿を販売し、昭和になり綿反も扱った。戦時中は商品を供出するなど厳しい統制を受けた。「番頭も戦地に召集され、1944年ごろにはすっかり商売できなくなった」(大塚店主)という。

 戦中の混乱を乗り越え戦後、高級呉服や寝具の販売を開始。洋品や肌着、カーテン、暗幕などを幅広く扱った。上棟式で使うセットや神社で使うのぼり、病院の手術用生地、各学校で使う紅白幕、ラーメン店ののれんなど、数多くの特注にも応じてきた。

 1972年に都市区画整理で現在地に移り、新穀町商店街の中核店の一つとして商店街振興、地元経済発展にも貢献。顧客とのつながりを重視した対面販売で、老舗の高級呉服店として北上市民を中心に盛岡市や県南地方の近隣自治体からも多くの来店があった。

 ただ近年、なじみの顧客が高齢化。大塚店主(88)の長男で専務の守男さん(66)は「後継者もおらず、きれいな形で終わりたい」と2015年に閉店の方針を決め、1年以上かけて周知してきた。

 閉店間近となり、30、40年来など長年の客が次々と来店。八重樫励子さん(80)=北上市飯豊=は「何十年もお世話になってきた。いい物を出してくださる店で、全部信じて任せても安心だった。100年も続き品格もあり、地域に貢献してきただけに本当に残念だが、時代の流れで仕方ない」と心境を語る。同市和賀町の女性(63)は「いつも好みの物を選んでもらった。子供の頃、この辺をバスで通るとにぎやかで、(店は)町のシンボルだっただけに残念」と惜しんだ。

 花を手にして訪れたり、涙を浮かべる来店者も見られた。大塚店主は「皆さんにお付き合いいただいたおかげで、無事やってこられた。3、4代にわたりお世話になり本当にありがたい」と感謝。閉店後、店舗は貸す意向で、守男さんは「まちの活性化に役立ててもらえれば」と話している。