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コラム 記者ワープロ

66歳、踊り手なお現役 鬼柳鬼剣舞・髙橋松雄さん

(2/17)

66歳にして現役の踊り手として、精力的に鬼剣舞の稽古に励む髙橋松雄さん=上鬼柳公民館の鬼柳鬼剣舞道場

「できる限り続けたい」

 【北上】伝統芸能鬼剣舞で、還暦を過ぎてなお現役の踊り手を務めている人がいる。鬼柳鬼剣舞所属の髙橋松雄さん(66)=北上市鬼柳町=。若手と一緒にハードな舞をこなし、年20回ほどの公演にも出演。半世紀にわたり舞台に立ち続け、若手を背中で引っ張っている。「年齢に関係なく、若い人と一緒にやれるのは幸せなこと。できる限り続けたい」と意欲十分だ。

 髙橋さんは、小学生から習っていた同級生と共に中学2年の時に鬼剣舞を始めた。中学と高校の仲間が次々と舞台から離れる中、社会人になっても継続。「練習はきつかったが、仲間と一つのことに集中できるのが魅力。公演で大阪万博にも行き、海外などいろいろ行けるのが楽しみだった」と振り返る。

 鬼剣舞は全身を使い躍動する激しい踊りで、演目が終わるごとに若手でも肩で息をするほど。このため踊り手の多くは40歳前後でかねや笛、太鼓の「はやし手」に移り、髙橋さんのように60代で常時舞う人は皆無に等しい。

 髙橋さんが踊り手を続ける「覚悟」を決めたのは38歳の時。「当時は踊り手が少なく、抜けると大変だった。笛を吹いてみたが吹けなかったので、これは踊り続けるしかないと思った」と振り返る。体力づくりと週にほぼ2回の稽古を重ね、いつしか還暦を過ぎた。

 「年を重ねるごとにきつくなる」というものの、躍動感あふれる若手とは違った、基本に忠実な円熟味のある舞を見せる。動きについていくのは大変だが「『よくやっているね』と応援してくれる人もいる」ことも励みになっている。

 2016年には、リオデジャネイロ五輪と希望郷いわて大会という二つのビッグイベントで演じた。1970年の岩手国体にも出演しており「2度踊ることができたのは、長くやってきた結果。リオでも(観客の)視線はすごかった」と目を輝かせる。

 メンバーに与える影響も大きい。鬼柳鬼剣舞で踊り手筆頭の一剣舞を務める髙橋邦治さん(36)は「自分がその年までできるか想像できない。(髙橋さんの)鬼剣舞に懸ける姿勢は、言葉にしなくても若手に伝わっている」と敬意を表す。

 中学時代から髙橋さんを指導し、苦楽を共にしてきた鬼柳鬼剣舞庭元の菅原晃さん(69)は「よほど強い意志がないと、ここまでできない。体力を維持し、若手と差がつかないよう工夫して年代に合わせた踊りができている。それも基本がしっかりしているからこそ」と賛辞を贈る。

 髙橋さんは鬼柳鬼剣舞少年団長も務め、子供たちの育成にも精力的だ。「踊り手を絶やさないよう育てていく」と力を込める。教える時は自身の鍛錬と体力維持も兼ね、一緒に舞う。「50年踊る目標はクリアし若手も育ってきた。でも、やれるうちはやりたい」と、踊り手としてのこだわりをのぞかせる。