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コラム 記者ワープロ

兵士の思い一冊に 北上平和記念展示館の軍事郵便

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「北上平和記念展示館の軍事郵便」発刊に携わった(左から)高橋館長、高橋さん、川島さん

180通、解説付きで

 【北上】北上市和賀町藤根の北上平和記念展示館(高橋洋明館長)は、「北上平和記念展示館の軍事郵便」を発刊した。地元の広報誌に15年間、毎月紹介してきた軍事郵便合わせて180通を注釈、解説付きで網羅。過酷な戦地で兵士が思いを込めてつづった手紙と背景が一読できる貴重な一冊に仕上がった。

 軍事郵便は、藤根地区から出征した兵士が恩師の高橋峯次郎に宛てたもの。峯次郎は藤根尋常高等小学校教師、青年訓練所・青年学校指導員として青年たちを鍛え、郷土通信「眞友」を発行し戦地に送り続けた。兵士たちも峯次郎に近況報告をしたため、約900人の教え子から7000通もの手紙が寄せられ、現在同記念館で所蔵している。

 藤根地区交流センターは毎月、併設する同展示館の軍事郵便を同センターだよりに掲載。公民館時代から数え、2016年12月で180回を数えた。住民から「ぜひ一冊にまとめてほしい」との要望があり、前館長で広報誌掲載初期から携わってきた高橋源英さん(80)、高橋館長(73)、同館学芸員の川島茂裕さん(63)が中心となり発刊作業を進めてきた。

 A4判、281ページ。「高峯先生、元気にて軍教に励んでおります。待ちに待った潜水艦乗員となり、一路戦場へ向かいます」と近況報告、「毎日の如く敵飛行機、昼夜間は襲撃致して来ます」と激戦を伝える内容、「私はここで最期かと思う時に子供等のことを考えます」と家族への思いをつづったものなどさまざま。検閲により墨塗りでつぶされた字もあるほか、戦地でのコレラ流行、死を覚悟した兵士の思いなどが赤裸々に書かれている。

 12日は、同センターで手紙を書いた元兵士の家族ら約30人を招いてお披露目。川島さんが一通一通の背景を解説し、「軍事郵便には兵士の魂が込められている。尋常小学校で高度な教育がされていたこともあり、作文能力が高い」と評価。高橋さんは「郵便からは教え子を思う恩師と兵士との信頼関係、絆が感じられる」と話した。

 和賀町福祉等基金の助成を受け、300冊発行。高橋館長は「藤根地区でも手紙の存在を知らない人が多くなった。戦争と平和への関心を持ってもらい、地域住民や多くの市民、県民に読んでほしい」と語り、今後、英語版や中国語版も作製する意向を示した。