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コラム 記者ワープロ

北上の企業誘致に焦点 市産業振興アドバイザー 関満博氏

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北上市の産業集積についてまとめた「『地方創生』時代の中小都市の挑戦」を発刊した関氏

「日本のモデルケース」本に

 明星大経済学部教授、一橋大名誉教授で北上市産業振興アドバイザーの関満博氏(69)=東京都武蔵野市=は、北上の企業誘致、産業集積に焦点を当てた「『地方創生』時代の中小都市の挑戦 産業集積の先駆モデル・岩手県北上市の現場から」を発刊した。昭和初期に始まった企業誘致と工業化の変遷、現在の集積企業の状況を網羅。関氏は「日本で最も企業誘致に成功したのがここ。日本のモデルケース」と高く評価している。

 関氏は1990年に初めて訪れて以来、27年間にわたり北上に関わっている。今回は集大成として、1年半かけ市内の企業など70社を現地調査しまとめ上げた。

 第1章では「通常市町村は10、20ヘクタール程度で条件の悪い所を造成するが、本州以南で100ヘクタール規模の工業団地がこれほどいい場所に整備されている例はない」と絶賛した。

 戦前の黒沢尻工業高校誘致、昭和の大合併後は財政再建団体を経て1960年代から工業団地開発が急ピッチで進められたと記述。「当時の市長は商工関係職員に『日経産業新聞』『日刊工業新聞』を読ませ企業の増産計画に反応させ、職員を9時前に在来線で7時間かけて東京に向かわせた。新工場の情報を得ると市長はすぐに東北線の夜行で東京に向かった」とのエピソードを紹介した。

 さらに「市長の熱心さで一度企業関係者が工業団地を訪れると立地条件の良さなどに感動し、一気に誘致が決まった。歴代市長も『工業立市』でぶれずに産業政策を進めてきた-とした。

 第2章以降では半導体、金型、電子部品、機械金属、自動車関連を含め多種多様な立地企業などを紹介。農業分野で西部開発農産、更木ふるさと興社など地場の取り組みも記す一方、中心部への人口集中と郊外の人口減少といった課題も指摘している。

 関氏は「県庁所在地と周辺以外は人口が減る中、北上は1960年に比べ30%超の人口増を達成し、製造業出荷額は100倍近くになった」とし「働く場があるから兼業で農業ができる。誘致企業と地場企業の信頼関係で、工業集積に厚みがある。まさに世界のモデルだ」と評価する。

 今回の発刊を「現代史の証言、未来への提言」と位置付け「日本が疲弊する中、北上のように『やればできる』ことを全国の人々に知ってほしい」と語る。新評論から発刊し416ページ。1部6000円(税抜き)。各書店で注文できる。