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コラム 記者ワープロ

劣化の遺伝子特定 生物工学研究センター

(6/6)

シイタケの菌糸を画面で観察する坂本主任研究員。今回の研究で劣化原因となる遺伝子を国内で初めて特定した

シイタケで国内初
品質改良、新品種育成に期待

 公益財団法人岩手生物工学研究センター(北上市成田、杉原永康理事長)は、収穫後のシイタケの褐変(かっへん)や軟化に関わる遺伝子の特定に国内で初めて成功した。品質劣化が抑えられ、日持ちの良いシイタケの新品種の育成が可能となることから、生産者の新たな栽培意欲の喚起につながると期待されている。

 シイタケは、収穫後に常温で置かれるとすぐにひだが茶色になったり(褐変)、細胞壁が分解されて軟らかくなったり(軟化)して品質が劣化することから、同センターは国立の研究機関との共同研究によって品質劣化に関する遺伝子の探索に着手した。

 ゲノム解読などの先端技術を用いて研究を重ねてきた結果、褐変の原因物質であるメラニン合成には二つの酵素(ラッカラーゼとチロシナーゼ)が、軟化には二つの細胞壁分解酵素(β-1、3-グルカナーゼとキチナーゼ)がそれぞれ関わっていることを特定した。

 さらに、これらの遺伝子群を制御していると考えられる転写因子も確認。今回特定した遺伝子を取り除いた株を用いて日持ちの良いシイタケの品種育種が期待されており、現在種菌メーカーと共同で品種開発に取り組んでいる。

 今回の研究成果は、国際学術雑誌に掲載。東北大で開催される環境微生物系学会合同大会2017(8月29~31日)でも発表する予定だ。

 原木、菌床の両方のシイタケ栽培が行われている県内では、東京電力福島第1原発事故で放射性物質による汚染被害が発生し、生産者は大打撃を受けた。出荷基準を満たした商品でも風評被害に悩まされたことから、同センターの「生産者の動機付けにつなげたい」との思いが今回の研究を後押しした。

 同センター生物資源研究部の坂本裕一主任研究員は「今回の成果によって品質劣化の抑制が可能になると、歩留りが上る生産者にとって収入増につながるだけではなく、良質商品が提供される消費者にもメリットとなる」と強調。「今後は生産者や消費者のニーズに応じた品種開発も期待できる」と意義を語った。