北上市口内町の口内地区交流センターで29日、自家用有償旅客運送出発式が行われた。ドライバーを務める住民が自家用車を活用して、利用者目的地まで送る取り組み。NPO法人くちない(昆野先男理事長)が事業主体で、この日から利用をスタートさせた。料金はタクシー料金の半額以下に設定しており、交通手段のない高齢者や障害者が気軽に利用できる新たな交通手段として期待が集まっている。
出発式で昆野理事長は「この地域ではバスが運行されているが、うまく利用できない人が多いことから(運行を)計画した。多くの人に喜んでもらえる交通システムにしていきたい」とあいさつ。市と北上署、県交通北上営業所からの出席者がそれぞれ祝辞を寄せた後、関係者によるテープカットで旅客運送のスタートを祝った。
最初の利用者となった昆野萬次さん(71)は、一人暮らしで運転免許がないため、普段は自転車を利用している。自宅から最寄りのバス停までは徒歩で40~50分の距離。腰痛のため、この日は自宅から3キロほど離れた郵便局まで利用した。「歩くのが大変なので、自宅まで来てくれて大変助かる。これからも利用したい」と喜んでいた。
同法人による今回の取り組みは、過疎地有償運送と福祉有償運送の2種類。利用は登録制で、利用を希望する前日の午後3時までに同法人の事務局に電話で申し込むシステムで、購入したチケットで料金を支払う。
過疎地有償運送は県内3例目で、自宅からバス停や地区交流センターまでなど町内を発着とする運行。くちない会員と一般会員があり、くちない会員は年会費1000円を納めると、料金は1回につき100円。一般会員は初乗りが300円で、1・5キロ以上は500メートルごとに50円が加算される。現在の登録者数は約100人。
一方、福祉有償運送は、町内の自宅などを発着として、市街地などの官公庁、医療機関、金融機関への送迎を行う。対象となるのは、障害者と要介護認定者、要支援認定者に限っている。1回当たりの料金は、0~8キロが800円、8~12キロが1000円、12キロ以上が1200円。14人が登録している。
同法人の事務局は「利用時間を調整しながら2人の乗り合いによる運行で、効率化を目指したい。利用者が増えれば、ドライバーも増員したい」と話している。
問い合わせは、同センター内の同法人事務局=0197(69)2001=まで。