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コラム 記者ワープロ

平家物語 繊細に えさし藤原の郷 版画家井上さん企画展

(5/3)

えさし藤原の郷で開催中の井上さんの「版画平家物語」展。紙凹版の技法を用いた作品の一部

 【奥州】奥州市江刺区岩谷堂の歴史公園えさし藤原の郷は、版画家井上員男さん(神奈川県鎌倉市)の力作を紹介する企画展「版画平家物語」展を開いている。紙凹版という版画技法を用い、栄枯盛衰の物語をダイナミック、かつ繊細に表現したびょうぶの作品群が鑑賞者を圧倒する。28日まで。

 作者の井上さんは1932年、香川県観音寺市生まれ。高校教師の傍ら創作活動を続け、紙凹版版画では難しかった濃淡表現の技法を68年に独自に開発。平家の全盛から合戦、没落までを12の場面に描いた大作を12年間かけて95年に完成させた。

 通常の木版画は彫った部分が白く、残った部分にインクが載る凸版だが、紙凹版はカッターナイフとピンセットを使って切り出した部分が黒く出る。展示作品は、原版から20枚のみ刷ったうち、井上さん自身が保管していた貴重な1セット。

 当初は12の場面全てを一度に展示したが、作品から離れて見た方が躍動感が伝わるため、展示数を限定して途中で作品の一部を入れ替え、3月下旬までだった会期を延長して現在は7場面を展示している。

 展示作品は、平清盛の孫(後の安徳天皇)が生まれた場面の「我身栄花(わがみのえいが)」から那須与一が登場する「扇の的」、平家滅亡の「壇の浦の合戦」など。原文を書いた詞書と対になった形で展示している。

 場面ごとの歴史的な意味や登場人物の力関係、心の動きまでも描きつつ、牛車や調度品の模様、合戦場の馬や弓矢、波などを緻密に表現。まるで細い筆で描いた水墨画のような作品の数々に鑑賞者が見入っている。

 同公園の藤野正博企画業務部長によると、井上さんは「源義経ゆかりの岩手で、たくさんの人に見てもらうのは望むところ」と話したという。

 会期中、午前9時~午後5時。入園料が必要。問い合わせは同公園=0197(35)7791=へ。