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コラム 記者ワープロ

甲状腺手術に内視鏡導入 胆沢病院 傷目立たず、早期回復も

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 奥州市水沢区龍ケ馬場の県立胆沢病院(勝又宇一郎院長)は、甲状腺手術に内視鏡を用いる鏡視下手術を始めた。首に大きな手術痕が残る通常の方法に比べ、目立たないのが最大の利点。谷村武宏外科医長(39)が5月末に東北で初めての術式による手術を行い、今後少しずつ増えそうだ。

 甲状腺は喉仏の下にある臓器。腫瘍やバセドウ病などの疾患は女性に多く、通常の手術では首の正面に切開による大きな傷が残り、特に若い人ほどケロイド状に目立つなど美容面での精神的な負担が大きい。

つり上げ式の甲状腺鏡視下手術をした県立胆沢病院のチーム。前列左が谷村外科医長、同右が清水名誉教授

 胸部や腹部と違って臓器の周囲に空間がない首の内視鏡手術は空間の確保が必要。皮下に二酸化炭素ガスを入れて風船状に膨らませる方法と、皮下をはがして皮を器具でつり上げる方法の二通りあり、同病院は費用面などから後者を採用した。

 

 手術は、体の正中線からと鎖骨下から各5センチほど離れたVネックの衣服に隠れる位置に、メスなど手術器具を入れる3・5センチほどの切開部を設けてフックなどでこぶし大の空間を確保。首の横にも約5ミリの穴を開けて内視鏡カメラを入れ、画像で確認しながら器具を操作して患部を摘出する。腫瘍の大きさは5センチ程度以下を目安とする。

 日本医大の清水一雄名誉教授(69)が1998年に開発し、現在名誉院長を務める甲状腺専門病院の金地病院(東京都北区)での手術を含め既に950件ほどを実施。「通常に比べて時間と費用は少し掛かるが、それを凌駕(りょうが)する美容上のメリットがある」と強調する。

 首に開けた穴は術後1~2カ月でほぼ完全に消え、下の切開部も服で隠せるため、若い女性に特に有効。また傷口のひきつれ感や違和感が少なく、通常手術では1週間ほどの入院期間が3~5日で済む。

 谷村医長は、金地病院で2016年度に1年間研修して「執刀5例以上経験」の基準を満たした。最初の手術が5月29日にあり、清水名誉教授立ち会いの下、40代女性の良性腫瘍を切除した。

 従来は先進医療として特定施設に限定されていたが、16年4月に良性腫瘍とバセドウ病、副甲状腺腫瘍は保険が適用され、鏡視下手術を取り入れる病院も少しずつ増えつつある。胆沢病院での甲状腺手術は年平均20~30件だが、岩手は人口の割に東北の中では専門医が多く、甲状腺の分野は進んでいるという。

 谷村医長は「常に露出する首に傷が残ることのストレスは大きく、手術時間が1・5倍かかっても患者の満足度が2倍、3倍になればいい。少しずつ認知されて広まっていけば」と話し、次回予定の今月下旬以降もニーズに応じながら当面は月1、2件ペースで進める考え。