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コラム 記者ワープロ

人と地域のつながり深く

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えさし郷土文化館企画展「人首文庫」

えさし郷土文化館で開かれている企画展「人首文庫―人と地域をつなぐ文学館」

 奥州市江刺区岩谷堂のえさし郷土文化館(相原康二館長)は、企画展「人首文庫―人と地域をつなぐ文学館」を開いている。同区米里の宿場町、人首町にある私設文学館・人首文庫が所蔵する膨大な資料の中の一部を展示し、地域の歴史・文化と人々との深い関わりを伝えている。25日まで。

 人首文庫は、この地を治めた仙台藩の重臣・沼辺氏の家老職を務めた佐伯家の屋敷で、内務省官僚で詩人でもあった佐伯郁郎(1901~92年)の生家。多くの著名な詩人や作家、児童文学者らと交流があった郁郎宛ての書簡など資料約4000点を保管・公開する。

 企画展は、▽佐伯家の来歴▽人首村と佐伯家▽佐伯郁郎と人首文庫▽「宮沢賢治全集」発行前夜―の4部構成。中世から近世に至る史料、中央文壇との深い交流を示す資料など191点を展示している。

 南北朝時代の名工・来國光の太刀は、豊臣秀吉の奥州仕置軍との戦いに参陣した佐伯成信が葛西氏から贈られた一振り。佐伯家6代当主・成直の長男徳成が開いた私塾「英雄堂」の扁額や歴史書の注釈本、地誌の翻訳本、沼辺家8代当主・武雅が描いた「四季花鳥図六曲屏風(びょうぶ)」や掛け軸の絵なども目を引く。

 宮沢賢治全集の発刊は、生前から作品を高く評価していた草野心平が会合で同席した郁郎に「東京宮沢賢治友の会」設立を相談したことで進展し、郁郎や野村胡堂ら県出身者が中心になって奔走して実現。賢治が生前に1000部を自費出版した詩集「心象スケッチ 春と修羅」初版本、賢治追悼会での集合写真なども公開している。

 郁郎に頼まれて人首の子供たちのため詩を書いた「日本のアンデルセン」とも呼ばれた小川未明の手紙や川端康成の短冊、北原白秋の色紙、林芙美子からのはがきなど著名作家や詩人直筆の書簡類、署名帳のほか、郁郎が郷里の若者のため結成した鳴瀬野球クラブも紹介している。

 野坂晃平同館係長は「長い歴史を持つ佐伯家の史料と郁郎の文壇関係資料の二つの側面がある。賢治全集の初版本発行に郁郎が携わったことも知ってほしい」と説明。同文庫の佐伯研二館主は、「文化や教育を尊重する中で貴重な資料が残されてきた背景に地域の支えや人々のつながりがあったことを感じてもらえれば」と話している。

 会期中、午前9時~午後5時。