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芥川賞 沼田さん初のサイン会 ファン行列 盛岡【岩手】

芥川賞受賞記念のサイン会で沼田さん(左)と交流する地元ファン

 第157回芥川賞を受賞した沼田真佑さん(38)=盛岡市在住=のサイン会は4日、同市で初めて開かれた。地元のファンら約100人が詰め掛けて、受賞作「影裏」の感想や応援メッセージを伝えるなどして和やかに交流した。

 県人初の芥川賞受賞を記念し、地元のさわや書店と東山堂が共催。いずれかの書店で「影裏」を購入した人が対象で、午後0時30分の開場前からファンが行列をつくった。

 沼田さんは「岩手に住んで5年しかたっていないのに『岩手が生んだ作家』などと紹介されると申し訳ない。納得いかない人もいると思うが、この土地で多くのことを学ばせていただいているのでお許しをいただきたい」とユーモアを交えてあいさつ。来場者一人ひとりと対面し、にこやかな表情で本の中表紙にサインした。

 来場者は「受賞おめでとうございます」「夢中で読みました」などと思いを伝えたり、握手を求めたりして交流した。

 盛岡市津志田の川本紀子さん(42)は「母親が『影裏』を繰り返し読むほど気に入っており、サイン入りをプレゼントしたくて来た。震災を背景とした『影裏』はやや重い印象があったが、沼田さんはとても穏やかな人。物語をしっかり読み込みたくなった」と話していた。

 文藝春秋書籍販売部によると、「影裏」は7月下旬に初版4万部で発売したが、人気沸騰により6万5000部の重版となった。本県での売り上げが全体の約3割を占めているという。

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