花巻

イーハトーブ賞 色川氏(東経大名誉教授)が受賞 賢治賞は該当なし

色川大吉氏

 花巻市は7日、第27回宮沢賢治賞・イーハトーブ賞の受賞者を発表した。このうち賢治を顕彰する実践的活動者をたたえるイーハトーブ賞は、歴史家で東京経済大名誉教授の色川大吉氏(92)=山梨県北杜市=に決定。賢治に関わる研究や評論、創作活動などに贈られる宮沢賢治賞は対象者の辞退により、2016年に続き2年連続で該当なしとなった。9月22日に同市大通りのなはんプラザで贈呈式が行われる。

 宮沢賢治学会イーハトーブセンターの賞選考委員会が学会員や有識者からの推薦、同委の推挙を基に宮沢賢治賞13件、イーハトーブ賞20件のうちから選考。同センターの富山英俊代表理事、同委の安藤恭子委員長が上田東一市長らと市役所本庁舎で会見し発表した。

 発表によると、イーハトーブ賞の色川氏は、明治期の民衆の手による憲法草案を発掘するなど、日本近代の民衆史・精神史を追究。そうした活動の一環として賢治の生き方も考察し、日本近代史の中に位置付けた業績を高く評価した。

 イーハトーブ賞に準ずる奨励賞は2組を選考した。1988年からインド・コルカタ市の「マザーテレサの家」の障害児施設で介護ボランティアに努めている澁谷りつ子氏(56)、74年結成で多くの賢治作品を舞台で演じてきた山形市の合唱団じゃがいも(鈴木義孝代表)に贈呈する。

 宮沢賢治賞は2次選考に残った5件から最終的に1件に絞り込んだものの、対象者本人が辞退したことから、昨年に続き6回目の該当なし。奨励賞も今回は選出に至らず、2001年以来3回目の該当なしとなった。

 富山代表理事は、宮沢賢治賞が2年連続の該当なしとなったことについて「委員会としては選考したものの、仕事に対する自らの評価の仕方として対象者が辞退した。該当なしが続くことは好ましくない。来年は工夫や努力をして充実した選考にしたい」とした。

 また、同センターが賢治生誕120年を機に昨年創設した同センター功労賞は、賢治の文学的足跡をたどり、地元との関わりを語り合いながら学びを図っている雫石町の雫石と宮沢賢治を語る会(小川浩彦会長)に贈る。来月22日の総会に合わせ、なはんプラザで贈呈式を行う。

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