一関・平泉

紙すき職人 ただ今奮闘中 ①作業場所、道具準備から 

原材料となる楮の皮を保存するために大事な黒皮を剥ぐ作業

 800年以上の歴史を持つ伝統工芸「東山和紙」の職人養成研修を一関市内の男女4人が受講している。紙すき作業は主に冬に行われるが、職人となるには原材料となる楮(こうぞ)やトロロアオイの栽培・加工、作業に使う道具作りなど、一年を通して学ばなければならない作業がたくさんある。受講生の思いとともに仕事の一端を紹介する。(4回続き)

 一関市東山町の会社員佐藤知美さん(42)は「全て手作業で作られる紙が貴重だと思い、自分でも作ってみようと思ったことがきっかけ」で、東山和紙の紙すき職人養成研修の受講を希望した。

▲佐藤知美さん

 研修生は、2016年11月から4回の体験講座を受け、4月から養成研修に参加している。先人が積み重ねてきた伝統の知恵を学ぶ中で「作業工程一つ一つが工夫されていて、受け継がれてきた知恵と伝統を感じる」という。

 体験を通じてハードルの高さを感じることもある。「技術の習得だけでなく、作業場所、道具の準備なども時間をかけて取り組まないと難しいことが多い。場所や道具を確保し、練習をしていきたい」と決意を語る。

 2年間の研修期間では、原材料の栽培や道具の製作にも取り組む。「商品になる紙を作っていけるように、特徴を生かした紙をすいていきたい」と意欲を示す。

【黒皮剥ぎ】

 煮込んだ楮の木から剥がした表皮を、紙すきの材料に加工する作業。実際の紙すきに使うのは白皮と呼ばれる繊維部分で、表皮が付いたままだと間に虫が付いて使い物にならなくなってしまう。

 研修生は専用の台を使って作業に打ち込む。傾斜に沿って刃物を滑らせ、皮を剥いでいく。原材料の保存のためにも大事な作業で、白皮だけにしておけば何年でも取っておくことができる。

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