黒工　３３年ぶり東北大会　花東も出場決める　秋季高校野球県大会

　第70回秋季東北地区高校野球県大会は23日、盛岡市の県営球場で準決勝が行われ、黒沢尻工が33年ぶり、花巻東が３年ぶりに決勝進出を果たし、東北大会出場を決めた。敗れた一関学院は久慈との３位決定戦へ回った。

　黒沢尻工は二回２死三塁から８番佐藤誠太（２年）の左前適時打で同点とし、五回に打者11人を送る猛攻で５点を挙げて逃げ切った。

　花巻東は１点を追う四回に適時打と犠飛で２点を奪い逆転。田中大樹（２年）と西舘勇陽（１年）の継投で一関学院の反撃を振り切った。

　24日は同球場で決勝と３位決定戦が行われる。

　【黒沢尻工７－４久慈】黒工が地力の差を見せた。二回に同点に追い付くと、五回には３本の三塁打など５安打で５得点。先発菅原は９安打されながらも粘り強く投げ、４失点で完投した。

課題の左投手を攻略―黒沢尻工

　夏のリベンジを誓って臨んだ黒沢尻工が久慈を退けた。主戦の相手左腕を攻略し、33年ぶりとなる東北大会出場を決めた。

　久慈には今夏の岩手大会準々決勝で逆転負け。ナインは左投手への対応力不足を痛感し、新チームで左投手を立てた打撃練習を重ね、課題克服に努めてきた。

　練習の真価は、同点で迎えた四回に発揮された。６番古川凌（２年）が左中間を破る三塁打を放って口火を切ると、３番菅原大夢（２年）、４番石塚綜一郎（１年）の連続三塁打を含む５安打で一挙５得点。相手エースを攻略し、流れを一気に引き寄せた。

　14安打の猛攻で、夏の雪辱を果たした黒沢尻工。決勝に向けて石橋智監督は「勝ち上がることで油断も生まれる。また手綱を引き締めなければ」と語り、この試合３安打４打点の活躍を見せた菅原は「私立に勝てれば実力は本物。ここまで来たら、全部勝って東北大会に出場したい」と頂点へ意気込んだ。

　【花巻東６－４一関学院】花東が逆転勝ち。四回に阿部の左犠飛で逆転。七回から救援した西舘は学院打線を１安打に封じた。学院は３点を先制したが、中盤から打線がつながらなかった。

失策からの失点、打撃で返す―花巻東

　持ち前の勝負強さを見せた花巻東が、一関学院に逆転勝ちを収めた。２番谷直哉、３番阿部剛士（ともに２年）が守備での汚名をバットで返上し、チームの決勝進出に貢献した。

　一回、１－０から二塁手の阿部の失策が絡み２失点。三回には遊撃手の谷も守備が乱れてさらに１点を失うも、２人とも最後まで気持ちは落とさなかった。

　「自分で与えた点は、自分で取り返す。気持ちは切り替えていた」と谷。四回１死二、三塁の好機で高めのスライダーを中前へとはじき返し、ゲームを振り出しに戻した。

　直も１死一、三塁として、阿部も意地を見せた。甘く入ってきた変化球を強振。左翼方向へと上がった打球は犠飛となり、勝ち越し点を挙げた。

　千厩中出身の阿部。一関勢を相手に「お前が活躍しないと」と佐々木洋監督からハッパを掛けられていたといい、「自分が打たなければいけないと思っていた。ミスを挽回することができてうれしい」と安堵（あんど）した。

　谷は「守備で迷惑を掛けてしまったが、心は落ち着いていた。流れの良い場面で打つことができた」と頬を緩ませた。

初回の先制生かせず―一関学院

　夏の甲子園８強の盛岡大附を下して勢いに乗る一関学院だったが、花巻東に逆転負けを喫し、３年ぶりの決勝進出を逃した。

　４－３の四回、２番手阿部巨（１年）が１死二、三塁から中前適時打を浴び、同点とされた。流れを止めようとマウンドに上がった佐々木琉（２年）も左犠飛で勝ち越され、七回には２死から適時二塁打でさらに１点を失った。

　打線は一回、連打に敵失も絡んで３点を先制。三回にも加点して主導権を握ったかに見えたが、逆転されてからは凡打を重ね、反撃の突破口を見いだせなかった。

　夷塚郁斗主将（２年）は「ピンチになってからチームが沈んでしまった。もっと打って助けたかった」としながらも、「東北大会に出場するため、３位決定戦に集中したい」と前を向いた。

【県営球場】
　◇準決勝▽第１試合
久　慈　　１００　００３　０００｜４
黒沢尻工　０１０　５１０　００×｜７
（久）中田夢、伊藤－渡辺
（黒）菅原－千葉
　▽三塁打＝古川、菅原、石塚（黒）▽二塁打＝沢里、熊谷、上向（久）千葉（黒）

　▽第２試合
一関学院　３０１　０００　０００｜４
花巻東　　２０１　２００　１０×｜６
（一）滝田、阿部、佐々木、岩渕－吉田
（花）田中、西舘－佐藤千
　▽三塁打＝夷塚（一）紺野（花）▽二塁打＝阿部、中森、佐藤千（花）

　◇県営球場
　▽３位決定戦
久　慈－一関学院（10時）
　▽決勝
黒沢尻工－花巻東（12時30分）