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ILC実現へ「世界が期待している」 山下特任教授(東京大素粒子物理研究センター)講演【岩手】

「ILCの現状とILCを核とした地方創生」と題して講演する山下特任教授

 県国際リニアコライダー(ILC)推進協議会(谷村邦久会長)主催のILC公開講演会(東北ILC推進協議会、いわてILC加速器科学推進会議共催)は9月27日、盛岡市のホテルで開かれ、東京大素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授が「ILCの現状とILCを核とした地方創生」と題して講演した。

 同市内外から約200人が参加した。

 山下氏はILC計画の現状について、従来30キロとしてきた初期段階での整備を20キロに縮めコストダウンを図るステージングの手法などを説明しながら「やるべきことをまとめ、11月の国際委員会で承認を受けて表に出てくる重要なタイミングにある」とし、「コストダウンも行い現実的に障害はかなりなくなってきている。世界が期待していることは間違いなく、数十年ないくらいのビッグチャンスだ」と指摘。その上で「日本はプロセスを重要視し着実な国と思われる半面、なぜそんなに時間をかけるのかと海外から思われるところもある」と述べ、「タイムリーに決断し、前へ踏み出すことを少なくともこの1年の間にはやらなければならない」と早期の政府判断に期待した。

 ILCを核とした地方創生については「地方創生にはいろんな例があるが、世界とつながるという意味で非常に特殊であり、大きな広がりがある」と強調し、「イノベーションなどで世界にアピールすることができる絶好の機会になる。そうした社会をつくろうというのが世界とつながる地方創生だ。この状況を生かしてぜひいろんなものを集積し、科学や技術だけでなくそこから生まれる文化や産業をどんどん生みだせるような地域にしてほしい」と訴えた。

 第2部は岩手大理工学部の成田晋也教授が講師を務め、東北ILC準備室の活動を紹介した。

 ILC計画については文部科学省の有識者会議などで現在協議が進められており、今年度は政府判断に向けた正念場を迎えるとみられている。

momottoメモ

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