一関・平泉

スズメバチ14人刺す 一関・蘭梅町 龍澤寺こども園 運動会前、園児ら被害

コンクリート擁壁の隙間にあるハチの巣を駆除する業者=30日午後2時10分ごろ、一関市蘭梅町地内

 30日午前8時40分ごろ、一関市蘭梅町地内の路上で「園児らがハチに刺された」と119番通報があった。刺されたのは、同市山目町3丁目の龍澤寺こども園(塩竈素明園長、園児154人)の園児と保護者ら計14人で、旧中里中学校に車を止めて同園の運動会が開かれる中里小校庭まで歩いて向かう途中、スズメバチなどに襲われた。14人は同市の県立磐井病院などに搬送され、いずれも軽症という。

 現場は市役所から約2キロ北側で、中里小から旧中里中までを結ぶ林に囲まれた道路。駆け付けた消防隊員によると、スズメバチとみられる巣は道路脇のコンクリート擁壁の隙間3カ所にあり、うち1カ所では30~40匹ほどが飛んでいた。

 同園関係者らによると、午前9時からの運動会に合わせ、駐車場の一つになっていた旧中里中から会場までの約400メートルを14人が歩いていた。内訳は園児3人、小学生5人、園児の保護者6人。頭などを複数刺された人もいたという。

 園児らがハチに襲われたことを受け、現場付近には規制線が張られた。市から依頼を受けた業者が午後2時ごろに巣の駆除に当たった。

 会場にいた園児の保護者の男性は「刺された子供たちが泣いていた」、別の男性は「開始予定の時間に運動会が始まらず、校庭に救急車が来たことで被害を知った。スズメバチであれば怖い」と話していた。

 市消防本部は、夏から秋にかけて管内で草刈り中にハチに刺される事案が毎年あることから「ハチの巣を見つけた際には絶対に近づかないでほしい」としている。

園、説明なく予定通り実施

 龍澤寺こども園の運動会は、5年ほど前から中里小校庭を会場に開かれている。2014年度に閉校した旧中里中の敷地を、保護者用駐車場の一つとして利用していたが、昨年までは園児らが移動中にハチに襲われる被害はなかった。

 中里小までを結ぶ道路は林に囲まれ、中里中閉校後は人通りは少なく、2日ほど前に同園職員が道路脇の竹を取り除くなどの整備や見回りに当たったもののハチの巣には気が付かなかったという。

 園児の保護者で夫がハチに頭を数カ所刺された女性(35)は「夫は『ズキズキして痛い』と話していた。園の先生も慌てた様子だった」と当時の状況を振り返り、「運動会はどうなるかと思っていたが、競技は始まっていた。みんなが運動会の準備をし、多くの人が集まっているので実施したのだと思うが、園からの説明はなかった」と語った。

 園児や保護者らがハチに刺された後、午前9時開始予定だった運動会は15分遅れたものの、プログラムはほぼ予定通り実施された。塩竈素明園長は「中止も考えたが、行事の関係で日程変更もできず、準備してきた子供たちの気持ちを考慮した」と説明。被害に遭った園児や保護者に対しては「後日謝罪し、開催したことを了解いただければ」と述べた。

 

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