月見坂“弁慶”が助太刀 中尊寺 車椅子利用者体験会【平泉】
車椅子利用者の参拝をかなえる「弁慶とともに登る中尊寺・月見坂車いす体験会」が30日、平泉町の中尊寺で行われた。県内外から訪れた車椅子利用者らが、ボランティアの介助で杉木立の参道を上り、本堂や金色堂を目指した。
月見坂と呼ばれる表参道は勾配がきつく、介助なしに車椅子利用者が上ることは難しい。そのため参拝そのものを諦めたり、別なルートで参拝したりしていることから適切な介助で参拝をかなえ、受け入れ態勢の整備に役立てようと、2015年度から体験会を開いている。
体験会は、観光・福祉関係の官民団体で構成する平泉ユニバーサルデザイン観光推進会議、県南広域振興局保健福祉環境部が主催、両磐地域まちづくり探検隊が協力。
今年は県内外の車椅子利用者11人と同伴者5人をはじめ、地元高校生や看護学校生、短大生、大学生を中心とした介助ボランティア24人、運営スタッフ28人が参加した。
車椅子利用者1人につき3、4人が介助し、車椅子のフレームにロープを巻き付けて引っ張ったり、前輪を持ち上げたりして月見坂を上り、利用者は樹齢300年ほどの大きな杉の木々が連なる荘厳な雰囲気や、東物見台から望む束稲山、北上川、衣川の眺めを楽しみながら本堂、讃衡蔵(さんこうぞう)、金色堂などを目指した。
妻と参加した宮城県山元町の渡辺邦雄さん(66)は、歴史好きで各地を旅行するのを楽しみにしており、体験会は昨年に続く参加。妻のゆう子さん(67)は「一人で車椅子の介助をするのは大変なので助かる。きょう一日楽しみたい」と話していた。