1羽丸ごと薫製に 「南部かしわ 銀雪」 新たな特産へ期待【西和賀】
西和賀町が取り組む地域ブランド「ユキノチカラ」の新商品として、新しい地鶏ブランド「南部かしわ 銀雪」が誕生した。いわてにしわが南部かしわプロジェクト(高鷹政明社長)が、国指定天然記念物「南部地鶏」の血を引く岩手固有の地鶏を使い、飼育から加工までを町内で手掛けて生まれた。同社では第1弾として薫製したスモークチキンを商品化し、ふるさと納税の返礼品として用意。西和賀の地域資源を生かした魅力ある特産品がまた一つ加わった。
同社の設立者の一人で湯川地区の旅館「山人」を経営する高鷹社長は、町の特産品として、「西わらび」をはじめ山菜や野菜などがある一方、西和賀の気候風土に適した動物性タンパク質の重要性を実感。さまざまな特産品を模索する中、「夏の冷涼な気候が地鶏に向いているのでは」と考え、2011年から南部かしわの研究に着手した。
13年には町内の生産者らと共同で同プロジェクトを設立。地鶏先進地の宮崎県日南市の生産者や業者から飼育や加工処理の技術を学びながらノウハウを蓄積し、国の地域経済循環創造事業で交付金2500万円を受けて17年5月に同町新町に加工処理施設を整備した。
高品質な商品を生み出すため、電解水による殺菌処理や細胞を維持した上で冷凍するセルアライブシステム(CAS)などの設備を導入した。
今年は、町内の大野集落営農組合などの生産者が南部かしわ約2000羽を飼育。西和賀の静かでストレスがかからない自然環境の中で、ミネラル豊富な雪解け水や穀物を使い、約120日間育てた。
第1弾は、1羽を丸ごと薫製にしたスモークチキンで、町のふるさと納税の5万円以上の返礼品として約500羽分を用意。15日には関係者や報道機関などを招き、地鶏ブランド「南部かしわ 銀雪」の発表会を町内で開く。
高鷹社長は「素晴しい飼育環境と最新の加工処理技術の下で生み出された良質な商品。西和賀の新たな特産品として、南部かしわを町内をはじめ県内外に発信していきたい」と意欲を見せる。