文化財保護に尽力 菊池さん(石鳥谷)大臣表彰【花巻】
花巻市文化財保護審議会長などを務める菊池邦雄さん(73)=同市石鳥谷町好地=は、地域文化の振興に功績のあった個人・団体に文部科学大臣から贈られる2017年度地域文化功労者表彰を文化財保護分野で受賞した。長きにわたり文化財の保護と調査、普及啓発活動に努めてきたことが高く評価された。
菊池さんは1972年4月に旧石鳥谷町文化財調査委員に就任し、合併後の花巻市文化財保護審議会委員を合わせて46年目。2014年4月からは会長を務めている。06年1月から石鳥谷農業伝承館長、07年4月からは石鳥谷歴史民俗資料館長を兼任。この間、県文化財保護指導員を30年にわたり担当した。
24歳の時、団体職員の傍ら「菊池」姓のルーツを自ら調査したのが文化財調査活動の始まり。「自宅の近くに菊池数馬の墓があり、調べるうちに(好地村)の田の開拓や道路、橋の整備などに力を注いだ先人だと分かり、同じ菊池をたどればルーツが分かるかもと思った」と振り返る。現在の奥州市江刺区や一関市、花巻市内などの住民を訪ねて話を聞き、熊本県が発祥地と突き止めた。
文化財調査委員に就任後は、1982年に「南部杜氏の酒造用具」が重要民俗文化財に指定されたのを機に、記念誌「南部杜氏」(83年発刊)の編集のため、酒造用具の収集や関連する習俗調査に尽力。石鳥谷町内の石碑、遺跡など地域の歴史、民俗の調査研究に積極的に取り組み、旧同町広報「いしどりや」に82年から合併前まで「ふるさと再発見」などを毎月掲載するなどし、文化財の周知啓発にも取り組んだ。
掲載内容は本にまとめて自費出版している。
現在は会長として市内文化財の調査と保護、活用のために奔走する。
菊池さんは「自分が育ったまちや地域の詳しい歴史をたどるために、聞いた話を実証するために足を運んで調べた。それが積み重なって今の自分がある。まとめたものは30(タイトル)になるので、後世に伝えるために役立ててもらえれば」と語る。
今後は若い頃から出会った700人余りの話をまとめる作業や、花巻市内の船着き場の調査を手掛ける予定で、「ライフワークとしてぜひ編集したい」と意気込みを示している。