一関・平泉

わら細工の巨大竜完成 平泉・自性院 全長5メートル超

約5.5メートルのわら細工の竜と自性院の千葉住職(右)、雫石民芸社の階治さん

 平泉町平泉字毛越の自性院(千葉亮信住職)に17日、巨大なわら細工の竜がお目見えした。本堂に鎮座した全長5メートルを超える竜は迫力満点で、寺や地域を守るような存在感を放つ。晴れれば参道入り口の地蔵尊を取り巻くように飾り、新しい年の始まりを祝う。

 制作したのは盛岡市の盛岡手づくり村に工房を構え、くるみ皮を活用したかごやわら細工など伝統民芸品を制作・販売する雫石民芸社(階美榮子代表)。

 仏法の守護神である竜を祭ることが、仏教都市平泉ならではの守り神になるのではないかと15年ほど前から考えていた千葉住職(61)が、盛岡手づくり村開業30周年を記念して同社が制作した竜を新聞記事で知り、今年2月に制作を依頼した。

 完成した竜は全長5・5メートル、重さ約50キロで、大人3人がかりでやっと持ち運べる大きさ。材料の稲わらは大人の背丈ほどに生長するもち米の苗を育てることから始め、田植えから稲刈り、はせ掛けにして乾燥させ、脱穀するまで全て手作業で準備した。

 11月から制作に取り掛かり、最も太いところで胴回り60センチを超える胴体は、職人が4人がかりで3本のわら束をより合わせて仕上げた。頭部は職人2人が担当し、わらぐつの作り方を応用して制作。竜の歯やひげ、爪なども繊細に表現した。

 17日には同社の職人階治さん(57)、久美子さん(56)夫妻が自性院を訪ね、完成した竜を納品。台風や雨の影響で材料の準備や制作の遅れが懸念されたことなども振り返り、久美子さんは「納品するまで不安だったが喜んでいただいてうれしい」、治さんは「完成した竜だけでなく田植えや稲刈りなどの工程があることも知ってもらえれば」と語った。

 竜のわら細工は2018年1月7日ごろまで日中の好天時に限って同寺の地蔵尊を取り巻くように、以降は本堂に安置する予定。15年来の思いがかなった千葉住職は「写真でイメージはしていたが、実際に見ると迫力が違う。守り神としての存在感を感じる予想以上の出来だ。竜を飾り寺号移転130年となる新年を祝いたい」と喜んだ。

 自性院は厄よけや祈願のみを行う天台宗の祈祷(きとう)寺で、永承元(1046)年に伊手(現奥州市江刺区伊手)に創建され、明治21(1888)年に平泉に移転した。

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