いわにちリビングｕｎ特集：くらしを楽しくプロジェクト

身近な暮らしに、住んでいるまちに。
“あったらいいな”の思いからすてきなモノ、コト、場所が生まれています。

＃誰でも立ち寄れる　＃不安や悩みのよろず相談　＃県内各地に広がれ

　昨年10月、ＪＲ仙北町駅前にオープンした「暮らしの保健室せんぼく」は、年齢や性別の違い、病気や障がいの有無にかかわらず、誰もが気軽に立ち寄り、思い思いに過ごすことができるオープンスペース。「屋根のついた公園」がコンセプトで、地域住民の憩いの場としてはもちろん、悩みや不安を抱えた人の「よろず相談所」としても機能している。

　「保健室」があるのは、マンションの１階スペース。大きなテーブルやピアノ、閲覧自由の図書棚が配置され、駄菓子や本の販売コーナーもある。同じ階には健康メニューを提供するカフェ、外来診療と訪問診療を行う診療所、健康相談もできる薬局、医療介護事業所、メディカルフットケアサロンが隣接しており、医師、薬剤師、看護師、介護士、調理師、社会福祉士といった専門職と連携できるのも特徴だ。

　「学校の保健室のように”ここに来るとなんだかホッとする“という場所でありたい」

　そう話すのは、室長の及川裕香さん。保健室の利用は無料で、予約も不要。本を読んでのんびり過ごす人もいれば、何気ないおしゃべりをきっかけに、病気や介護、子育てなど不安や悩みを打ち明ける人もいる。　

　「家族や地域に心配や迷惑をかけたくないと一人で抱え込んだり、どこにどう相談していいか分からずモヤモヤしている、という人が少なくない。深刻化する前に、まずは気軽に訪れてみてほしい」と及川さん。保健室では、医師・薬剤師と健康について語り合うカフェや、繭クラフト教室、手話交流会なども開催しており「こうしたイベントが足を運ぶきっかけになれば」と話す。

　人と地域をつなぎ、楽しくてほっとする。そんな暮らしの保健室は「人を輝かせる場」でもある。「繭クラフトや手話の講師は、地域の方々なんです。『自分のスキルを地域で生かしたい』といった思いを後押しするきっかけになれば」。

　暮らしの保健室せんぼくは「暮らしの保健室もりおか」が運営する常設保健室のひとつ。現在、せんぼくの他、みたけと宮古でも常設で開設中だ。また、八幡平市や花巻市、宮古市などで開催している出張保健室は「こういう活動を自分が暮らす地域でも始めたい」という人の実践の場にもなっている。「暮らしの保健室のような場所が、岩手県内のあちこちにできることが理想。そのためのノウハウは、惜しみなく伝えたい」と話す及川さん。その思いは少しずつ、岩手のいろんな場所で芽を出し始めている。

及川裕香さん　社会福祉士、介護士、保育士の資格を持ち、暮らしの保健室せんぼくの室長を務める。

project1　公園に立ち寄るような感じで　オープン中は誰でも出入り自由で、過剰な詮索もしない。漫談、ランチ交流会などのイベントも開催しており、こうしたイベントをきっかけに足を運ぶようになった人もいる。

project2　サークルの活動場所にも　サークル活動やイベントの会場として無料貸し出しもしている。「公園の一画で活動している」イメージで、居合わせた人が自由に見学、参加できることが条件。

project3　各地に広がる「保健室の輪」　盛岡市みたけ・向中野、八幡平市、花巻市、宮古市などでも出張保健室を開催。「活動を立ち上げたい」と考えている人の実践の場にもなっている。

Data
住　盛岡市仙北町２－１－２０
電　０７０・２０１８・１００７
営　13時～18時
休　土・日曜、祝日（イベント時はオープン）
Facebookページ「暮らしの保健室もりおか」