先輩賢治さんを身近に 花巻小 講話、短歌かるたで学習
花巻市花城町の花巻小学校(小田島聡校長、児童295人)は23日、同校で5、6年生102人を対象に「賢治さんを知る会」を開いた。児童たちは詩人で童話作家の宮沢賢治についての講話に耳を傾けたほか、賢治の短歌を用いて作られたかるたを楽しみ、郷土の偉人に思いをはせた。
総合的な学習の時間で取り組む花小を学ぶ会の一環で、林風舎代表取締役の宮澤和樹さん(53)が賢治について講話。賢治の弟で祖父の清六に聞いた話として「賢治さんは写真などから暗い印象を持たれるが、本当は楽しい人だった」と紹介。畑にたたずむ帽子にマント姿の賢治の写真は「クラシック音楽が好きで、写真を撮る時に中でも大好きだったベートーベンのまねをした」と明かした。
代表的な作品「雨ニモマケズ」については「他の人に読んでもらおうと思って書いたのでなく、自分に向けて手帳に記した」とし、「最後に書かれているように『サウイフモノニ ワタシハナリタイ』と願っていた普通の人で、偉い人ではない」と語った。
講話に続き、6年生54人は賢治生誕120年の記念事業で2016年度に製作された「賢治の短歌百首カルタ」を使ったかるたに挑戦した。賢治は学生時代に気持ちを短歌に詠んだといい、かるたは百人一首と同様に、100作品を読み札と下の句が記された取り札に分けている。
「友だちの入学試験ちかからん 林は百合(ゆり)の嫩芽(わかめ)萌えつつ」「中尊寺青葉に曇る夕暮の そらふるはして青き鐘鳴る」「しめやかに木の芽ほごるるたそがれに 独逸冠詞(どいつかんし)のうた嘆きくる」など難しい内容が多い中、教諭が上の句を読み始めると、児童たちは身を乗り出して下の句が書かれた札に素早く手を伸ばした。杉下日々輝君は「難しいけど内容が分かるものも多少あって、賢治さんを身近に感じることができた」と話した。
小田島校長は「今は意味が分からなくても、大人になってから作品を振り返ることにもつながり、身近な存在として賢治さんを感じるだろう」と話し、競って札を取る児童たちを見詰めていた。